34.ab ページ34
次の日。
女将に呼ばれて客間に行くと、翔太さんと宮舘さんが居た。
何となく、予想はしていたけれど。
あぁ、終わるんだ....。
覚悟なんてまだできていないのに。
腑に落ちてなんかいないのに。
佐久ちゃんの幸せを願わなきゃ....それだけのモチベーションで、この恋を諦めなければいけない。
佐久ちゃんのことが大事なんだろ、幸せになって欲しいんだろ....そう自分に言い聞かせて、俺も席に着いた。
「はいはい、皆様お揃いで。急にお呼び立てして申し訳ありませんね、渡辺さん。」
「別に....」
「雪も眠いところ、悪いね。渡辺さんから大事な話があるから、ちゃんと聞いててね。」
「....。」
「はい、どうぞ。いつでもOKよ、渡辺さん。」
「そんなテンションでする話じゃないんだけど....」
絶対に俺と目を合わせようとしない翔太さん。
もしかしたら....なんて甘いことを考えていた自分に嫌気がさす。
そりゃそうだ、何も不思議なことは無い。
何人もの男に身体を開いた俺よりも、純粋で綺麗な佐久ちゃんの方がいいに決まってる。
俺が翔太さんの立場だったら、絶対に佐久ちゃんを選ぶ。
「翔太さん....お話って、何ですか。」
これが、俺の精一杯。
大好きな大好きなあなたにしてあげられる、最後のおもてなし。
「....ごめん。本当にごめん。ごめんなさい....っ」
突然、床に額を付けて謝り出す。
あぁ、綺麗なお顔なのに。
傷でもついたらどうするの？
謝罪なんて要らないから、顔を上げてくださいよ。
そして、よく見せて。
もう二度と会えないなら、今だけは俺のあなたでいてよ。
....なんてね。
口には出さないよ。
気が済むまで謝ればいい。
気が済むまで床と仲良くしていればいい。
ここで俺が優しい言葉をかけてしまったら、きっと覚悟が揺らいでしまう。
優しいあなたのことだから、俺に気を遣ってしまうでしょう？
それは即ち佐久ちゃんの邪魔をすることになる。
俺にはそんなこと、絶対にできない。
自分の幸せと佐久ちゃんの人生、どちらが大事かなんて一目瞭然だ。
それに、翔太さんと結婚したら由紗ちゃんの為に良いお医者さんを呼べると思うんだ。
ここで働くより、ずっと早く。
ほら、また比べる対象ができちゃった。
俺の我儘と由紗ちゃんの命。
人命より優先されるべきことなんて、この世に一つも無い。
だから....
「....翔太さん。佐久ちゃんのこと、よろしくお願いしますね。」
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まなお(プロフ) - なぎしゅうさん» ありがとうございます！twitterでフォローリクエストして頂ければ、18歳以上であれば基本的に承認しています。 (2021年2月23日 1時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 初めまして。13作品一気読みしちゃいました。半リアルというかむしろこれがリアルなんじゃないかと思えるくらい、私のイメージ通りのメンバー達で、脳内幸せです。是非、「青い鳥@manao__82」に投稿されてる作品も読みたいのですが、どちらに行けば読めますか？ (2021年2月23日 0時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年9月30日 18時
