3.ab ページ3
「今日は大事な話がある。」
部屋に入ってきて、挨拶もそこそこにこんなことを言われた。
いつになく真剣な眼差しで、俺は何となく全てを察した。
「なんでしょう？」
だけどここは気付かないふりをするのが正解。
翔太さんの目を見つめ返して、次の言葉を待つ。
「俺、決めたんだ。雪の身請けをしたい。お前さえ良ければ、この後すぐに女将さんに話をするつもりだ。だから今日は早く来た。雪、俺の妻になってくれないか。俺だけに愛されて欲しい。....俺のことも愛して欲しい。」
「翔太さん....」
「ぁ....ごめん、いくらなんでも急すぎるよな。いいんだ、別に急ぎはしない。次の機会でもいい。考える時間、欲しいよな。勝手なことを言って申し訳ない....」
思った通りの言葉だった。
彼がここに通い始めて一年半と少し、まだ早いような気もするけれど。
だけど、俺にとってこの人は特別なんだ。
勿論他の客と同じように接しているつもりだけれど、それ以上の感情を持っていることは店の仲間達にはすぐにバレてしまった。
俺ってわかりやすいのかな....なんて、その時は恥ずかしく思ったりもした。
そして翔太さんもまた、俺のことを好いていてくれたなんて。
嬉しさに思わず涙が溢れ、翔太さんを困らせてしまった。
謝らせてしまった。
俺は誤解を解くために、極力笑顔を作って翔太さんの胸に頬を寄せた。
するりと背中に回ってくる腕が優しく抱きしめてくれる。
甘い、幸せな心地良さだ。
「時間なんて要らない。雪は翔太さんと一緒に居たいです。翔太さんに身請けして頂ける....なんて幸せなんだろう。翔太さんについて行きたい、連れて行ってください。」
「雪....ありがとう。」
「ありがとうございます、翔太さん。」
「絶対に大切にする。絶対幸せにしてやる。」
「雪はもう幸せでございます、充分過ぎるくらい。」
「は？ナメんな。もっと幸せにしてやるから。色んな景色見せてやるから。」
「ふふふ....これは失礼致しました。」
「ほんと可愛い奴....」
俺を抱きしめる腕に力が入っていくのがわかる。
あ、始まるな。
少し顔を上げると先程の真剣な表情から一転、獲物を射るような視線が突き刺さる。
深い口付けを交わし、二人は布団に沈んでいく。
『今日は渡辺様がいらっしゃるから』と、克樹がいつもより気合を入れて綺麗に着付けてくれた着物がはだけて。
熱を帯びた手が妖しく腿をなぞるから、身体中が熱くなる。
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まなお(プロフ) - なぎしゅうさん» ありがとうございます！twitterでフォローリクエストして頂ければ、18歳以上であれば基本的に承認しています。 (2021年2月23日 1時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 初めまして。13作品一気読みしちゃいました。半リアルというかむしろこれがリアルなんじゃないかと思えるくらい、私のイメージ通りのメンバー達で、脳内幸せです。是非、「青い鳥@manao__82」に投稿されてる作品も読みたいのですが、どちらに行けば読めますか？ (2021年2月23日 0時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年9月30日 18時
