11.ab ページ11
「へぇ〜....そうですか。それは良かった！」
今夜のお客は、俺がここで働くようになって割と早い段階から贔屓にしてくれている方だ。
俺とそんなに変わらない歳なのに、商売も学問も自力で極めている凄い人。
太い客には自分から話しておくようにと女将に言われていたから、彼が部屋に入って来てすぐに身請けのことを打ち明けた。
彼は少しだけ表情を曇らせたけれど、すぐにまたいつも通りの爽やかな笑顔を咲かせて。
俺の体を思い切り抱きしめて、『良かった』と喜んでくれた。
俺は本当に良いお客様に恵まれている....そう感じずにはいられない。
「だから、もう如恵留さんとも何回会えるのか....」
「お雪さんが幸せなら、それでいいんです。僕には口を出す権利なんて無い。僕は本気で貴方のことが好きだから、貴方が幸せでいてくれるなら僕も嬉しいです。」
「俺は....寂しいです。如恵留さん、すごく素敵な人だから。優しくて紳士的で....会えなくなるのはちょっと嫌です。」
「だめですよ。お雪さんは、そのお相手のことを愛しているんですよね？それはきっと相手の方も同じだと思います。僕のことなんか忘れてください。忘れなきゃだめです、絶対。」
「....そういうもの、なんですか。」
「ええ、そういうものですよ。だけど僕としては、愛する貴方を失うのは本望じゃない。だから貴方が店にいる間は、今までよりも積極的に会いに来ます。だから頑張ってください、忘れられるように。僕のことも、他のお客のことも。」
「如恵留さん....できることなら、やっぱり俺は忘れたくないです。」
「それは何ですか？何もかもを忘れるくらい激しくして欲しい....そういう意味でしょうか。」
「....そうかもしれないです。でも如恵留さんはいつだって優しく抱いてくださる。俺はそんな貴方が好きです。」
「まったく、貴方という人は....。そうやって煽られると、僕も僕じゃいられなくなるんですよ？」
身体に回された腕に力が込められたのがわかった。
如恵留さんの体や吐息がだんだんと熱を帯びてきて、それに伴って俺も疼き始める。
優しく布団に沈められて、降ってくるのはいつもより何倍も激しい口付け。
着物の中に侵入してくる手には、いつものような余裕は感じられない。
性急に体内にねじ込まれた彼の細く美しい指が、探るまでもなく俺の一番弱い箇所を何度も刺激してくる。
堪えきれずに声を漏らすと、彼は満足そうに俺の着物の帯を引き解いた。
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まなお(プロフ) - なぎしゅうさん» ありがとうございます！twitterでフォローリクエストして頂ければ、18歳以上であれば基本的に承認しています。 (2021年2月23日 1時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 初めまして。13作品一気読みしちゃいました。半リアルというかむしろこれがリアルなんじゃないかと思えるくらい、私のイメージ通りのメンバー達で、脳内幸せです。是非、「青い鳥@manao__82」に投稿されてる作品も読みたいのですが、どちらに行けば読めますか？ (2021年2月23日 0時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年9月30日 18時
