2.nb ページ2
俺には許嫁が居た。
それなりに良い家に生まれ、もう幼少の頃から俺の相手は決まっていた。
よく二人きりで遊ばされ、気付いたら俺はその相手に恋をしていた。
最初は俺のことを怖がって脅えていたのに、一度心を開いてしまえばとても活発で明るい子だということがわかった。
動く度にふわふわと揺れる髪が愛おしかった。
日光を嫌う白い肌に早く触れてみたかった。
子供ながらに守ってやりたいとさえ思わされた。
正真正銘、俺の初恋だった。
しかし二年前、俺達の婚約は突然破棄されてしまった。
その相手の家が落ちた。
正確には、蔵に火をつけられたらしい。
食料も財産も燃え尽きて、裕福だった彼の家は一夜にして平民以下の地位に成り下がったと聞く。
何故それで俺達の婚約まで破棄されなければならないのか、俺は今でも心底不思議に思う。
勝手に許嫁を選んできたくせに、相手の家が落ちたら縁を切らせる....
酷い話だ。
親に詰め寄ってもただ『家を守るため』としか言われず、逆にこれでよく俺が納得すると思ったな....なんて感心してしまった。
それくらい、俺はその許嫁のことが好きだった。
しかしいつまでも彼のことばかりを考えているわけにもいかなくなった。
家の商売を広げるため、俺は一つ山を越えた先の村に移り住まわれることになったのだ。
生活の場と生活に必要なもの、それと何人かの使用人と少しの財産を分け与えられて。
頑張ってこい、なんて無責任な言葉を投げかけられた。
まぁ従ったけど。
面倒ごとは嫌いだから。
しばらくすると経営が軌道に乗り始め、俺には少しの余裕ができた。
時間的にも、金銭的にも。
俺はそれらを使って、夜の街に遊びに行くことを覚えた。
最初は煌びやかな街並みを眺めているだけでも楽しかったけれど、ある日我慢できずにその世界に飛び込んでみた。
昼の商店街と夜の街の境目に佇むその店は、小さいけれど品のある俺好みな雰囲気だった。
緊張をはぐらかすように、思い切ってその店に踏み込んだ。
『いらっしゃい。あ....ええと、初めてのお客様....ですね。』
店番をしていた美しいその男は克樹と名乗った。
後から聞いた話だが、遊女を目指していたけれど肺炎を拗らせてから無理のきかない体になって今の仕事をしているらしい。
こんなに綺麗なのに勿体無い....なんて、余計なお世話だろうか。
とにかくその克樹という子に導かれ、俺は“あの人”と出会うことになる。
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まなお(プロフ) - なぎしゅうさん» ありがとうございます！twitterでフォローリクエストして頂ければ、18歳以上であれば基本的に承認しています。 (2021年2月23日 1時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 初めまして。13作品一気読みしちゃいました。半リアルというかむしろこれがリアルなんじゃないかと思えるくらい、私のイメージ通りのメンバー達で、脳内幸せです。是非、「青い鳥@manao__82」に投稿されてる作品も読みたいのですが、どちらに行けば読めますか？ (2021年2月23日 0時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年9月30日 18時
