第53話 ページ4
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「あんた、こんなものをどうやって…！」
「この1ヶ月、町の連中から情報を集めて、組織のアジトを突き止めただけじゃ。まあ……その紙切れを奪う際にちょっとした乱闘にはなってしまったがのう」
何でもないようにそう言ってのけたヴォルフに、子供達も再度唖然とするしかなかった。
水面下、たった1人で敵のアジトに乗り込み、必要なものを何もかも掻っ攫ってきた胆力と行動力。
無謀と言うには戦果を上げすぎている強かさ。
そんな彼の性質が、ペンギンとシャチが脅かされることなく、安心して生きていけるようにする為に惜しみなく使われたという事実。
只者ではないとヴォルフの来歴を怪しんでいたローは、その考えをますます強めると共に、彼の不器用な優しさを再認識した。
そしてAも書類を凝視し、気が付いたことがある。
プレジャータウンを訪れる前の晩、ヴォルフの部屋で山積みになっていた紙の束。
今まさにラッドの手に渡った情報は、その一部だったのだ。
「家宅捜査を行うには十分な証拠だな……応援を呼ぼう」
「頼んだぞ。それから…」
依然気絶している男の首根っこを掴み、ラッドの前へ突き出すヴォルフ。
力の入っていない手足はだらんと垂れ下がり、その両手首にあえなく手錠がかけられた。
「殺人未遂。あやうく撃ち殺されるところじゃった。
……ワシも暴行罪が適用されるじゃろう」
その口述に真っ先に食ってかかったのはペンギンとシャチだった。
「ヴォルフ、なんで！」
「我慢ならんかったとはいえ先に手を出したのはワシじゃ。その分の罰は甘んじて受ける」
「だってそれは、おれとシャチを守る為だっただろ！？」
「そうだよ！なんでヴォルフが捕まらなきゃならないんだよ！だったらおれ達も捕まるべきだ！」
口々にヴォルフを庇う子供達。
立場上口に出すことはないが、ラッドも最後の一文を除いて完全に同意見であった。
だがいくら彼等の為であろうが、いくら捜査に貢献しようが、ただの一般人である彼の行いに正当性などあったものではない。
否＿＿＿＿その正しさは秩序の上では認められない。
そしてそんな分かりきったことを覚悟していなかったはずがない。
全て心得た上で、この頑固な老人は子供達の為に奔走する道を選んだのだ。
「全く……とことん馬鹿正直だな、あんたは」
呆れたようで、それでもどこか誇らしげに、ラッドは深く溜息を吐いた。
「とりあえず詳しい話を聞こう。駐在所まで来てもらえるか」
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。これからも作者様のペースで更新頑張ってください！ (3月20日 19時) (
レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あーねさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです…！更新頑張らせていただきますッ！ (11月9日 0時) (レス) id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 一気読みしてしまいました…！どこか儚くて美しい表現力に痺れました！マイペースに更新頑張ってください…！ (11月8日 18時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あさん» 閲覧していただきありがとうございます！頑張らせていただきますー！ (10月20日 6時) (レス) @page9 id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あ - いつも読ませていただいてます！これからもお願いします！ (10月15日 21時) (レス) @page8 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いの | 作成日時：2023年9月7日 0時
