第64話 ページ15
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間違いなく愚かではあるが、それが間違ったものであったとは思えなかった。
だから混乱しているのだ。
この複雑怪奇な、無謀にも思える生態は、一体何の為に。
「わからない、けど───これから見つけてみる」
理解しなければ。
だから紐解いていこう。少しずつ、少しずつ。
────彼等の言う、ケジメとやらの為にも
そうして虚空を見やる淡い双眸に揺らぎはなく。
未知の領域に手を伸ばすことを臆さない、その姿勢には強く打たれるものがあって、何だか負けたような気分にさせられた。
「よし、お前も鍛錬するぞ」
「…え？」
「能力のだ。あんなもん誤射されたらたまったもんじゃねェからな。それから……
サラサラと指の隙間から溢れるほど丁寧に梳いた髪を撫でながら、ローは満足気に口元を緩めた。
「その力の使い方も好きに選べばいい」
勿論要相談な、と念を押す。
それが自分でも驚くくらいに柔らかな声だったのは、きっといつも以上に気分が良かったからだ。
***
────見慣れたものだった。
目の前にはいつも横たわるものがあって、肌に絡みつくような有機質の冷たさは私の日常だった。
いくつもの土色の塊。
それはヒトであったり、動物であったり、かつては生き物であった肉袋の集合体。
幾重にも積み重なって、空気が蕩けるほどの腐臭を放つ死、死、死。
時と共に朽ち果てた木乃伊のような貌が、真っ黒な洞穴となった眼窩でこちらを睨んでいた。
「────！！」
声なき絶叫はその死体の生前を思い出させた。
彼/彼女はついこの間、私を殺す為にここへ連れてこられたのだと言っていた。
私を殺すことができれば外へ出られると、屋敷の主と約束したそうだ。
転がっている他の死体も同じようなことを口にしていた気がする。
結局、誰も私を殺せなかったから、誰一人として外に出ることは叶わなかったのだが。
白い衣の大人達が彼/彼女をどこかへ連れ去るまで、この空間には生と死が同居し続けていた。
「────」
ここに光はない。
私が掻き消しているのだから当然だ。
連れてこられた時には強く輝いていたのに、私に敵わないと知るや、その光はどんどん小さくなっていって。
やがて溶け切る寸前の蝋燭の火のような弱々しさにまで落ちぶれて、事切れる。
彼/彼女が必死になって生き足掻くのと同じく、無感動の癖に生にしがみついた結果がこれだ。
その絶えず明滅を繰り返す生命を、躍動する魂を、私は
「─────ぁ、」
どうしてか、あの
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。これからも作者様のペースで更新頑張ってください！ (3月20日 19時) (
レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あーねさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです…！更新頑張らせていただきますッ！ (11月9日 0時) (レス) id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 一気読みしてしまいました…！どこか儚くて美しい表現力に痺れました！マイペースに更新頑張ってください…！ (11月8日 18時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あさん» 閲覧していただきありがとうございます！頑張らせていただきますー！ (10月20日 6時) (レス) @page9 id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あ - いつも読ませていただいてます！これからもお願いします！ (10月15日 21時) (レス) @page8 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いの | 作成日時：2023年9月7日 0時
