第50話【きらきらひかるおそらのほしよ】 ページ1
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────美しいものを見た。
それは残酷なくらい刹那的で、ずっと見ていたいのに、すぐに燃え尽きてしまうものだった。
ある人はそれをただの塵だと言った。
けれど黒い宙を駆ける姿は何よりも煌々としていて、己の終焉を飾るように綺麗な色彩を放つその光芒には、不思議と目を惹き寄せられた。
そもそも自分もかつてはそちら側にいたのだ。
1つの光が滅びる瞬間を眺めることの一体何が面白いというのかと、幼いながらに捻くれた思考を抱えている子供だった。
それがいつしか思い出となったのは、天真爛漫な妹がいたからだ。
「お兄さま、知ってた？流れ星に願いごとを3回唱えると、願いが叶うんですって！絵本に描いてあったの！」
まだ■■■■■が美しい白亜の町であった頃。
業火に焼かれたはずの■■が楽しそうに笑っていて。
馬鹿らしいなんて思いながら、あまりにも一生懸命に話すものだから、兄心が働いて耳を傾けたのだ。
「でもね、とっても難しいの。お星さまったら願いごとを言う前にすぐに消えてしまうから…」
「そう簡単に願いは叶えられないってことだ。最後は結局、自分次第だからな」
「もう！お兄さまってば夢がないんだからー！」
眉唾とすら言えない、ただの迷信。そう結論づけたはずの夢物語。
とっくに失った純粋さを持つ妹がほんの少し羨ましくて、興味本位で尋ねた。
「何を願うつもりだったんだ？」
すると■■は、可愛らしい笑顔で言ってのけた。
「お兄さまが立派なお医者さまになれますようにって！」
国一の名医である憧れの父様に教鞭を執ってもらい、多くの医学知識を頭に叩き込む日々。
学びはちっとも苦痛なんかじゃない。寧ろ頑張っているという自覚が薄いくらいに没頭していた。
それでも改めて背中を押されたことに、悪い気はしなかった。
「…自分のことじゃないのかよ」
「そんなことないわ！あとはアイスがたくさん食べられますようにとか、可愛いお洋服が見つかりますようにとか、将来素敵な殿方と結ばれますようにとか…」
「ちょっと待て最後はまだ早ェ！」
その無垢な存在がただ愛らしくて、やがて自分も充てられたように笑ったのだ。
それは確かに大切な思い出だった。
一条の青い流星に呼び覚まされたセピア色の記憶。もう二度と戻らない在りし日の影法師。
歌声が聞こえる。■■と母様がよく歌っていた、小さな星の
気恥ずかしくて、ついぞ一緒に歌えないままで、聞き流していたから歌詞なんてほとんど知らない。
それでもその記憶に触れれば、うろ覚えの曲は自然と頭の中に流れ出す。
あの歌、続きはなんだっけ
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。これからも作者様のペースで更新頑張ってください！ (3月20日 19時) (
レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あーねさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです…！更新頑張らせていただきますッ！ (11月9日 0時) (レス) id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 一気読みしてしまいました…！どこか儚くて美しい表現力に痺れました！マイペースに更新頑張ってください…！ (11月8日 18時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
いの(プロフ) - あさん» 閲覧していただきありがとうございます！頑張らせていただきますー！ (10月20日 6時) (レス) @page9 id: 38b3649016 (このIDを非表示/違反報告)
あ - いつも読ませていただいてます！これからもお願いします！ (10月15日 21時) (レス) @page8 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いの | 作成日時：2023年9月7日 0時
