MEMORY 【影山飛雄】

17. 忘れようと意識した時点で忘れることはもう出来ない ページ18

…







　そっと唇が離れて
　私の頬が赤いのをごまかすように
　口を開いた。



　『余裕、すぎでしょ…』






　「余裕なんてないよ。」







　そう言って笑う及川は
　やっぱり俗に言うイケメンってやつで。




　及川ファンのあの子達がキャーキャー言うのは
　こういうイケメンだからなのかな。





　好きだからイケメンに見えるのか
　イケメンだから好きなのか。





　どっちなんだろうね。







　『…利用、するみたいになるよ』



　俺にしなよって言う及川の言葉に
　頷いてしまったら、利用したのと一緒だよ。





　「それでもいいよ。
　 絶対俺の事好きにさせるし」





　やっぱり及川は優しくて
　私は弱くて。



　差し出された手のひらに
　手を載せてしまうんだ。





　『…私ね、今は及川の事
　 友達として好きなの。
　 だけど、絶対及川の事好きになれると思う。
　 だから、待っててよ』





　こうやって安全な場所を確保してしまうの。
　でも、ウソじゃないよ





　及川は、大切にしてくれるから。
　今までの彼女も大事にしてきた。


　だから好きになれるって思える。






　「…うん。
　 待ってる…」





　そう言ってほほ笑んでまた唇が重なった。
　大丈夫、飛雄を忘れられるよ




　姉弟だもん。
　平気だよ、忘れよう







　忘れようって思ったことがなかったから
　忘れられなかっただけであって。



　忘れようって努力したものは忘れられるよ。
　努力したら人は変われるから。






　
…
新作です↓
ふわふわ 【夜久衛輔】
ふわふわした恋を描きたいと思います。
こちらとは違う感じに仕上げたいと思います。

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