夢うつつ。(×in) (ページ10)

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ym side

そういえば少し前に、タオルケットを抱き枕にして寝ちゃうんだよね、なんて言ってた気がするなと思い出す。

なんてかわいい癖なんだ、と衝撃を受けたもんだ。

それがここ最近寒くなったからなのか、朝起きるとお腹の辺りに温もりを感じるようになった。

そう、伊野尾ちゃんはタオルケットではなくて俺を抱き枕にして寝ていたってわけだ。

いやー……かわいくない？

それはさすがにかわいいと思う。

普段は必ずと言っていいほど人一人分の距離はあるのに、この時だけは世でいうゼロキョリ。

近い。

正直、俺は伊野尾ちゃんの顔がタイプなので加えてこれもしんどい、かなり。

何とか腕を抜き出して、もちのようなほっぺたをすり、と撫でればほんの少しだけ緩む表情。

「……ん、りょ…すけ？」

舌っ足らずに呼ばれる名前に朝から俺は出血多量で緊急搬送だよ、伊野尾ちゃん。

「ごめんね、起こしちゃった？」

「んん…も、おきる」

「そっか、おはよ慧」

「……はよ」

無意識なのか、さっきよりもぎゅっと俺を抱きしめてくる伊野尾ちゃん。

今までより幾分か自由になった腕でそっと抱きしめ返し、朝の挨拶に、と眠そうな目元にキスを落とした。

fin.