あたたかい場所はいつも２ Fuma.K (ページ17)

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いとをかしページ17

「おねえちゃん！」

机の向こうからこちらを見上げているこうちゃん

「わあじんべえ似合ってる！聡くんありがとう」

「いえいえ！」

風磨も私も手伝いが忙しいので聡くんがこうちゃんを見てくれているのだ

小さい頃使っていたじんべえまで貸してくれたらしい

「ねえねえみて」

こうちゃんがずいっと押し出してきたのは緑色の
水鉄砲だった

小さい頃風磨とよく遊んだ覚えがある

「聡くんが取ってくれたの？懐かしいなあ」

「うん！しゃてきだよ」

こうちゃんを見てニコニコしている聡くんはすっかりお兄ちゃんだ

いつもの弟っぽいイメージからは想像がつかないほど優しく大人びた表情をしている

「聡くんにたくさん遊んでもらいなね」

缶ジュースを二本取り出して水滴を丁寧に拭いてから二人に渡す

「ありがとうございます」

「ありがとう！」

二人分のキラキラの笑顔が眩しい

こうちゃんは満足気に聡くんと手を繋いでまた人混みの中に入っていった

薄暗くなってきたことで少し涼しくなった

赤い提灯が灯って風情がある景色になり夏祭りも本番だ

「Aちゃーん裏から追加の持ってきてくれる？」

声をかけられ箱を見ると飲み物が切れてきたようだった

「はい！」

エプロンの裾で手を軽く拭いて私は校舎に入った

二階の教室のひとつが飲み物のストックを置くところになっているのだ

ダンボールにジュースや缶ビールなどが入っている

「…よいしょ」

持ち上げてみたが結構重い

一箱ずつ持っていくしか無さそうだ

少しよろけながらもなんとか階段を降りていく

「ふぅ…」

しかし

あと何段かというところで

足がもつれてしまった

「きゃっ」

悲鳴が漏れて

倒れ込む

…と思ったが

「っ、ぶね」

力強い腕に抱きとめられた

抱えていたダンボールのせいで前は見えないが

「風磨…」

「ほんと無理すんなって」

風磨の声がなぜか久しぶりに感じた