僕の灯が消えるまでに(in×ar) (ページ6)

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自宅療養ページ6

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「大貴、お家に帰りたい？」

告げられた退院

それは全然喜ばしいことじゃない

お母さんは笑おうとしているのだけどうまく笑えていないもん

“自宅療養”なんて聞こえはいいけど
残りの時間を家で過ごす方がいいって判断なんだよね

「うん」

僕、早くお家に帰りたい

ずっとこの場所で同じ景色しか見てないもん

少しでも違うものが見てみたいんだ

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お世話になったこの部屋にももう戻ってくることはない

「ありがとう……」

最後にベッドの上に座って窓の外へ向かって呟いた

ゆらゆらゆら……

家に帰るタクシーの中

久々に見る街の風景は
あの頃には無かった建物が建てられていた

こんなに近くなのに歩いたことはない場所

「ごめんね、大貴。お母さんこれから仕事なの……」

「大丈夫だよ。いってらっしゃい」

家について僕をベッドに寝かせるとお母さんは仕事へ行った

まだ今は体が動く

死ぬ直前になったら寝たきりになって動けないと思っていたけど良かった

ベッドの脇に置いてあるアルバム

その一頁一頁をめくっていく

まだ病気になる前に行った動物園や水族館

楽しかった記憶が蘇ってくる

「……海」

一枚の写真に目が止まった

スマホを手に取り指先を動かす

「……行ってみたいな……」

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