僕の灯が消えるまでに(in×ar) (ページ14)

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呼び方ページ14

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鼻と鼻がくっつきそうになったところで彼は止まった

フッと笑うと離れていく

「名前聞いてもいい？」

「、名前？」

「うん」

ベンチに両手をつき顔だけをこちらに向ける彼
その姿に恐怖は微塵も感じなかった

「有岡大貴」

「大貴ね」

「お兄さんは？」

「慧」

僕が逆に聞くと一言、下の名前だけを教えてくれた

「慧さん……」

「…あははっ」

「？」

僕が“慧さん”と頷くと突然声を出して笑い出した

「“さん”付けで呼ばれるの久々～(笑)」

「じゃあ、何て呼べばいいですか？」

「んー、なんでもいいよ？だいたい“伊野ちゃん”って呼ばれるのが多いけど」

“伊野ちゃん”

さっき聞いたのは“慧”という名前だけ

恐らく名字が“伊野”さんなのかな？

わかんないっ

「じゃあ、“ちゃん”」

「へ？」

「“ちゃん”って呼びます。さっき名前“慧”しか教えてもらってないから」

「……ふふふっ(笑)いいよ。俺は何て呼ぼうかな～？」

優しく問いかけてくる“ちゃん”

僕は普段、有岡さんか大貴くん
先生や看護士さんにそう呼ばれているからあだ名はない

参考になる呼び方は思い浮かばない

「僕、あだ名とか無いから」

「そうなの？」

「うん。あだ名に憧れてるんだ」

「ふーん。」

ぐぅ～～……

「？」

「あ、やっべ。聞こえちゃった？」

「聞こえた」

「今日なんも食べてないんだよね～」

「僕も食べてない」

今日というか、最近あまり食べてない

「近くに行きつけの定食屋があるから行かない？」

そんなにお腹は空かないけど定食屋さんには興味があった

行ってみるだけでもいいかな？

僕は首を縦に振って返事をした

「あ、それとここから敬語無しね。」

「えっ敬語ダメなの？」

「無しの方が楽しいよ。

ちゃんと案内するから行こう？大ちゃん」

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