4月の雪【雪男】 (ページ3)

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岩本side

阿部自身の口から「最近朝起きると頭痛がすごい」という相談を受けてから毎日阿部を見るようにしてた。

けど本人が言うように昼間に頭痛はでなくていつもけろっと笑ってる阿部を見てたら、本当に疲れなんだろうと思ってた。

「阿部、水。」

阿「あぁ、照ありがとう。」

「痛みは？」

阿「大丈夫だよ、ありがとう。...って今日も佐久間元気だね。」

「ほんとだよな。こんなハードな稽古受けて休憩とれよってな」

阿「んはは、ほんとだね。」

横であははと笑う阿部のいつもとのかわりなさにどこか安心してたかも知れねえな。

でもその休憩明けから阿部が明らかにおかしくなってった。

休憩明けから何度も五関くんに怒られる阿部。

さっきまでやってこなしていた振りが完全抜けてるのか、明らかに着いていけてない上に、眉間にシワを寄せてマスクをしてても苦しそうにしている顔が鏡越しに見えた。

これはまずいんじゃないか、と思って振り向いたときには遅くて

横にいた舘さんにもたれ掛かってずり落ちていく。

佐「阿部ちゃん？！」

ラ「大丈夫？！」

大きい声は多分よくない。

しっ、と人差し指を口元に当ててアイコンタクトをとりつつ阿部に近づけば聞いたことない苦しそうな声で名前を呼ばれる。

「阿部落ち着け。大丈夫。痛いな。」

呼吸も上がりぎみな阿部を抱き寄せていればこてんと力は抜けて意識を失ってしまったことを意味するそれに五関くんに事情を話した。

阿部の体の異変。

もっと早く気づいたら何て、今言ってももう遅いよな。