芸人さんと【短編集】# 2 (ページ1)

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甘美な正夢____ ｱｲﾝｼｭﾀｲﾝ河井ページ1

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『さむっ』

室内にいるというのに、もう肌寒く感じる季節になってしまったのか

そうだと知っていたら羽織でも持ってきたのに…

「薄着やなぁ～」

そう言って横に座った洲崎

私のペラペラのロンTよりもはるかに暖かそうなパーカーを着用している

洲崎「今日は夜、急激に冷え込む言うてたで？」

『私、そういうの感覚で生きてるから』

洲崎「ドヤ顔ちゃうねん」

さすがにその着てるパーカー貸してくれとか言えない

( 誰かの借りるか～ )

立ち上がりそこらへんに置かれてる荷物を物色していたら、脱ぎ捨てられたスウェットを見つけた

( お、これいいやん！ )

おそらく男物であろうスウェットは、ロンTの上から着るにはちょうどいいオーバーサイズだった

『よいしょ、と』

洲崎「お、いいのん見つけたな」

『そのへんに落ちてたやつ、めっちゃあったかい～』

洲崎「ん？なんかそれ誰かの匂いせえへん？」

横に座った私の腕に鼻をくっつけて匂いをかいでいる洲崎

『え？そうか？』

洲崎「絶対そう」

『柔軟剤ぐらい、同じの使ってる人いっぱいおるやろ』

香水の匂いなら分かりそうな気もするけど、ほんのり香る柔軟剤の匂いの主はさすがに思い出せない

洲崎「そやけど、めっちゃ知ってる匂いやねん！でも思い出されへん」

洲崎は横で勝手に葛藤してるけど、そんなことより私は寒さから解放されたし、ちょうどいい体温になったからか眠くなってきた

洲崎「いや寝てるやん」

横から聞こえてきた声に反応すらできず、そのまま意識を手放した

微睡の中でふわふわした気分、

そして誰かに抱きしめられている夢を見た

あったかくて、心地よい

それに

『いい匂い、、』

この柔軟剤の匂いはやっぱりどこかでかいだことがあるみたい

「あほ、そんなん言うな」

『えー、なんでですか？』

「きゅんきゅんするやろ」

あ、この声

『勝手にきゅんきゅんされても』

思い出した

「うっさいな」

抱きしめられたまま見上げると、ゆずるさんの顔がすぐそこにあった

( 夢の中で私とゆずるさんは恋人なんかな、、)

不思議な感覚だ

夢の中の私と、今夢の中の２人を見ている私

甘すぎる空気が流れてて、見ていて恥ずかしくなる

( なんかもう、はよ目覚めへんかな )

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