●薔薇の花3本‐Fred Weasley ページ28
最期なんだから、いつもみたいに冗談言ってよ。 / フレッド・ウィーズリー
フレッドが杖を振る。が、相手には当たらない。ちょこまかすんな、と叫ぼうとしたが一瞬のうちに相手は視界から消えた。
「フレッド、こっち来て！」
「A！ 今のお前が？ サンキュー」
「はやく！」
Aに急かされ、ついさっきまで校庭があった所を後にした。
着いたさきはすでに壊されていた学校の石の上だった。
ここは、そうだ、……二人が出逢った廊下。
「フレッド、私、あなたに言わなくちゃならないことがあるわ」
「こんなときにどうしたんだよ。はやくしてくれよ？ 俺が逃げたなんて噂が広められたらたまったもんじゃないぜ」
「お願いよく聞いて」
急にAが背伸びをして腕を伸ばした。そのさきはフレッドの首であった。
二人は必然的にキスをし、一瞬だけ外の破壊音を聴かずに今が重大なときであることを忘れた。
「――私の愛する人、フレッド。お願いよ、死なないで」
真剣な面持ちのAの顔にはすすがついていた。それをフレッドが腕で拭うと、彼女は目を涙でいっぱいにさせた。
「おい、なんで泣くんだよ？ A」
そう言いながらもフレッドはニヤニヤと嬉しそうに笑っていた。
「あなたがそそっかしいからよ、フレッド」
二人で手を繋いで、さっきの場所に戻った。
「待てよ、こいつは俺がやる、Aはあっち行っとけよ」
「ダメ、フレッドは隙があるから私がいないと――」
「……死ぬなよ？」
「もっと面白い冗談言ってよ」
上品な笑いかたをするAを見て、フレッドは終わったら何度でも言ってやるよと嫌みたらしく笑いながら言った。
「フレッド、あぶな――」
緑の光線がAの横を突っ切り、そのままフレッドへと向かった。
「 え」
フレッド。つぶやく声は彼には聴こえない。
あまりにも急だった。目を疑うような。耳が痛い。キーンとする。
緑の光線が、フレッドに当たった。
「フレッド？」
倒れたのはフレッド。
息がないのはフレッド。
笑っているのはフレッド。
「なにを笑ってるの？」
彼は死ぬ間際まで笑っていた。
そして、口は笑みを含んだまま動きはしない。
「……フレッド。好きよ、大好きよ、愛してる」
「最後の告白なんだから、」
「返事をしてよ……ねえ」
死者へ綴る届かない言葉は凛としている薔薇の花のように綺麗である。
彼は最期まで彼女を愛していた。
●薔薇の花11本‐Remus John Lupin→←●薔薇の花1本‐Draco Malfoy
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棗野 ｡(プロフ) - feat.もうしら寝さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません！ リクエストありがとうございます、早急に作りますね！ (2016年1月24日 22時) (
レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
feat.もうしら寝 - ありがとうございます!リクエストでいろいろこまかいんですけど「ダーズリー家に夢主の猫が迷いこむ」→「許可をとり探しに来た夢主にハリーが一目惚れ」→「ハリーと同学年のグリフィンドール生であることが判明」→「いろいろあってハッピーエンド」という話を。 (2015年12月29日 16時) (レス) id: d5ada5d17a (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - feat.もうしら寝さん» いえいえ、こちらこそ！ もちろんですよ、リクエスト待っています！ (2015年12月23日 16時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
feat.もうしら寝 - ありがとうございます！ またリクエストしていいですか？ (2015年12月22日 14時) (レス) id: 506c16022b (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - feat．もうしら寝さん» ごめんなさい！ 誤字がありました、わざわざ、です！ 意味不明なこと返信してしまい申し訳ありません……(*_*; (2015年12月20日 23時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棗野 ｡ | 作成日時：2015年8月8日 22時
