【2】Body Talk

055▽Aran ページ10

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最初の一粒が手のひらに落ちたあと
公園に静かな雨が降り出した。








ベンチに座ってさっきまでAを掴んでいた手を眺めていると、体に当たっていたはずの雨が突然止んだ。











「風邪引くよ」








背後から声が聞こえて、空を仰ぐようにして顔をあげて見てみればそこには逆さまになった宮近。


ビニール傘に当たる雨がぱらぱらと音を立てる








「…なんで宮近がいんの」

「今日この近くで部活だったから」

「部活？」

「うん、練習試合」








振り返ってちゃんと見ると
確かにいつものサッカーのユニホームを着ていた。








「久し振りに中学の近く来たから散歩してたんだけど、
まさか顕嵐もここに来てるなんて思わなかった」

「……」

「しかもA先輩と」

「……見てたのかよ…」

「偶然ね。」








つまりこいつは、俺がどこの誰かも知らない男にAを取られる瞬間を目撃したってわけだ。


なにそれ、俺今ちょーカッコ悪いじゃん








「さっきの男の人、今日の試合観に来てたよ」

「は？じゃあうちの高校ってこと？」

「多分。2年の先輩の友達だったみたい」

「……へぇ」








Aが拒否らなかったってことは、

同じクラスの男友達……とかだったらいいんだけど。








俺の勘って当たるんだよなぁ…


これは思ってたより手強いかも。











「顕嵐？」

「いや、俺は負けない」

「それはいいけどお尻濡れてるよ」

「は！？これ買ったばっかなのに！！」

「…俺もう行くから」

「待って宮近！！傘入れて！！」








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