私の執事 F.K

番外編 健人くんの執事５ ページ45

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勝「ご卒業おめでとうございます」


健「ありがとう」





卒業式が終わった頃を見計らって

高校まで健人くんを迎えに行った





周りを見渡すと他の生徒はご両親と

正門前で記念写真を撮ったりしていて、

至る所で華やかな笑い声が聞こえた。




健人くんのご両親はやっぱり仕事で

卒業式には来れなくて、

それを伝えると”うん、わかってる”と

いつも通りといったような返事だった。






勝「…写真！撮りましょう！」

健「えっ」

勝「ほらカメラ見て下さい」

健「ちょ、ちょっと待って自撮り下手すぎ！」

勝「はいチーズ」





スマホの液晶画面には度アップの僕と健人くんの顔で、
卒業式感の出るものはひとつも写っていなかった





健「…ははっ笑」

勝「難しいですね、自撮りって」





健人くんは液晶画面を見ながらずっと笑ってて

まぁこれはこれで結果オーライかなって







健「あ、そうだ。これ…勝利が預かっててくれないかな？」

勝「え…？」





健人くんから手渡されたのは

クシャクシャになってたあの成績表





勝「いいんですか？僕で」

健「うん。昨日はありがとな」





穏やかな表情でそう言った健人くん。







”…僕は、僕にとっては、

完璧な健人くんも完璧じゃない健人くんも

ご主人様であることに変わりありません

だから僕の前では頑張らなくていいです。”





僕が昨日健人くんに言ったこと。


必死に考えたけど、執事の僕に言えるのは

そんなことくらいだった。







健「こんなのに縛られてて俺小さいよな笑」

勝「ううん、そんなことないよ」

健「あ、タメ口」

勝「…小さいですね」









” 勝利がそれ持っててくれれば

気分が軽くなる気がするんだ ”





そう話す健人くんは

どこか清々しそうな笑顔で背伸びをしていて、





僕はどうかその笑顔がこの先も続くよう、

右手にある成績表を小さくたたんで

執事服の内ポケットにそっとしまった。







健「帰ろっか」

勝「そうですね」







いつも後ろ姿を見送っている僕だけど

今日は隣りに並んで歩くことにした。








〜番外編 健人くんの執事 -終- 〜



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