役不足 ページ3
シロハ・タオと名乗った彼女は優雅な動作で一礼すると、白い鼻緒の草履を静かに移動させて指令室に足を踏み入れた。
一瞬、小隊のメンバーに緊張が走るが、先ほどの張りはどこへやら、シロハはのんびりとした口調で話し始める。
「驚かせてしまい申し訳ありません。うるさかったでしょう、彼らの歌は」
謝ってはいるが、その表情は心底楽しそうだ。
こうしてこの場所にいるということは、彼女が不審者だということはまずないだろう。
彼女のように目立つ服を着ていては、警備の目をかいくぐってここまで来ることはできまい。
それ以前に、案内がなければ場所が分かるはずもない。
「あー…ミス・タオ。貴方は一体…」
メッサーの鋭い視線をものともしないシロハに、アラドが遠慮がちに声をかける。
何者か、それを名乗ってもらえなければ、彼らとしても気を抜くことはできない。
「あぁ、失礼しました。私、こういう者です」
シロハはどこからか取りだした名刺をアラドへ手渡した。
今どき珍しい紙媒体の名刺には、銀色の紙に白でレタープレスされた文字が記入されている。
『傭兵団アントロポファジー所属 ヴァール制圧部隊トリーブ マネージャー シロハ・タオ』
「アントロポファジー…」
「はい。私はそこでトリーブのマネージャーをしております」
シロハは懐から藍色の小物入れを取り出し、その中に入っている記憶媒体を空中に表示した。
そこには「トリーブ」結成の目的とメンバーの名前と写真、そして「ワルキューレ」に対する宣戦布告めいた言葉が躍っている。
「ッ…ふざけるな！」
それに声を荒げたのは、Δ小隊の紅一点、ミラージュ・ファリーナ・ジーナスだった。
しかしその激昂を聞いてもなお、シロハの能面めいた微笑みは崩れない。
「私たちでは役不足だとでもいうのか！」
「あら。そうでないとでも？」
シロハの言葉に、小隊の全員が目線を鋭く尖らせる。
当のシロハはにこにこと口角を上げたまま、子どもを宥めるように柔らかな口調で先を紡いだ。
「考えてみてください。
この銀河系の全ての星を、ワルキューレ単独だけでヴァールから守れるわけがない。
メモリに残されたフォールド波の残滓では、ヴァール症候群の予防にはなっても、薬にはならない…そうでしょう？
けれど、トリーブは違う。
あなた方は既に知っているはず。
彼らの歌声は、例え機器を通しても衰えることはない、と」
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糸圭卯格(プロフ) - 「進まない」一部変更いたしました。 (2017年5月5日 12時) (
レス) id: 00eb5803e0 (このIDを非表示/違反報告)
糸圭卯格(プロフ) - 綺羅さん» 初めまして綺羅さん！このところ忙しくて中々更新ができない状況にあります(-_-;) 落ち着いたら順次更新する予定ですので お待ちいただければ幸いです 。 お待たせしてしまい申し訳ございません_(._.)_ (2017年5月4日 16時) (レス) id: 00eb5803e0 (このIDを非表示/違反報告)
綺羅(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！頑張って下さい！ (2017年5月2日 19時) (レス) id: 36ff8fed08 (このIDを非表示/違反報告)
糸圭卯格(プロフ) - 「輸送機」修正します(；一_一)申し訳ありません… (2017年2月3日 20時) (レス) id: 11761a9c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸圭卯格 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/inkscope
作成日時：2017年1月23日 23時
