奇妙な声 ページ11
場所を変え、監視を続けること数時間。
輸入会社で密航犯がどうとか言う騒ぎを無視していたトリーブの面々は、ふと奇妙な声をその耳に捉えた。
「…ピピ」
「いや〜な声〜…耳腐りそうですね〜」
嫌悪感を露に耳を塞ぐピピが、出発前に角膜へ嵌め込んでいたコンタクト型のナビゲーターを起動させる。
瞬時に声の発生源を探るが、そこに声の主と思われる人物はいない。
それはルカも同様で、レンズには「探索不可」という無責任な文字が表示されるだけだった。
「シトーさん、どうッスか」
『こちらも反応なし。どうやら惑星外からの干渉らしい』
無線越しに聞こえるシトーの声は、いつもと変わらず平淡だ。
収穫の得られなかったルカはため息をつき、狙われる確率の高い場所へ目を向ける。
軍事施設、ゼントラーディ駐屯地。
そしてルカのレンズが異常を捉えた数秒後には、暴走を始めた機体が次々と街中へ出撃し始めた。
「最悪のパターンじゃないですか〜…ゲロっちゃいそうです〜」
「おー吐け吐け。写真撮って銀河中に晒してやんよ」
仕事前に一悶着おこしかけた二人の耳に、ヴァーチの声が釘となって刺さる。
『喧嘩は後だお二人さん、制圧を始めるぞ』
年長者の声かけに、若手二人の目が歪んだ。
三日月を描いたその口から、血霧でも混ぜ込んだかのように禍々しい言葉が漏れ出す。
「どこまでやっていいんスか」
「ナマゴロシとかや〜ですよ〜？」
彼らの言葉に苦笑するヴァーチを横目に、トリーブの指揮官であるシトーは、獣じみた彼らの期待をバッサリと切り捨てた。
『機体の無力化と操縦者の拘束が目的だ。殺さず五体満足で機体から引きずり降ろせ』
その命令に、血気盛んな若者は物足りなさげに嘆息する。
が、組織内において上司の命令は絶対だ。
背いて得することなど何一つなく、最悪の場合は切られることもある。
何を、とは言えないが。
『わかったらやれ。今すぐに』
『失敗したら一本な』
冗談とは思えないヴァーチの言葉に、硬直する間もなく二人は駆け出した。
光学迷彩によって姿を隠していた愛用の武器を脚に纏い、ピピが跳躍する。
懐に忍ばせた二挺の拳銃を構え、ルカが遠距離から彼女の援護に回る。
アントロポファジーにおける任務遂行時の人数構成は、四人のみ。
それ以上になることは稀で、また一人で行うことも稀だ。
最も、シトーやヴァーチ程になれば、話は別だが。
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糸圭卯格(プロフ) - 「進まない」一部変更いたしました。 (2017年5月5日 12時) (
レス) id: 00eb5803e0 (このIDを非表示/違反報告)
糸圭卯格(プロフ) - 綺羅さん» 初めまして綺羅さん！このところ忙しくて中々更新ができない状況にあります(-_-;) 落ち着いたら順次更新する予定ですので お待ちいただければ幸いです 。 お待たせしてしまい申し訳ございません_(._.)_ (2017年5月4日 16時) (レス) id: 00eb5803e0 (このIDを非表示/違反報告)
綺羅(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！頑張って下さい！ (2017年5月2日 19時) (レス) id: 36ff8fed08 (このIDを非表示/違反報告)
糸圭卯格(プロフ) - 「輸送機」修正します(；一_一)申し訳ありません… (2017年2月3日 20時) (レス) id: 11761a9c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸圭卯格 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/inkscope
作成日時：2017年1月23日 23時
