ニセモノを探せ*8 ページ9
うらたが発したその言葉に私たちを取り巻く空気が一瞬で冷たくなったのを感じた。
うらたはそんな私たちの様子を見て、「これ」と真ん中にその紙を置く。
その紙ははがきくらいの大きさの白い紙で、真ん中に黒字の明朝体でこう書いてあったのだ。
『この中に1人だけニセモノが紛れています。そのニセモノが誰かを7日間の間に探してください』
その言葉は言われるよりも書かれたものを見たほうが強い衝撃があった。
頭の中を金づちで叩かれたような感覚に襲われる。
手先から体温が冷えていくのを感じる。
他の4人を見た。
誰の目にも信じられない、という思いが見えるのは明らかだ。
私だってそうだ。
信じられるわけがない。
今の彼らはさっきまでの彼らと何一つ変わったようには見えない。
少なくとも、今の様子を見る限りいつもの彼らだ。
「………なぁ、ほんまにそうなんかな？」
切り詰めた空気の中、一番最初に口を開いたのは坂田だった。
視界の端に見える右隣の彼の握りしめた拳が少し震えているのがわかる。
「ほんまに、俺らの中にニセモノがおるん？実はドッキリでした、とか」
そんなことありえへんかな
そう小さく呟いた坂田の声は震えていた。
思わず彼の背に腕を回して、『大丈夫だよ』と言いたくなる衝動に駆られる。
「そうやったらええんやろうけど……。ドッキリのためにこんな教室を左右反対にするなんて凝ったことせえへんと思うけど、ね」
センラの言葉は的確だ。
私だってそれは思っていた。
この現状こそが信じたくなくても信じざるを得ない状況なのだ。
けれど、センラの言葉では坂田の拳の震えは止まらない。
元気の象徴だった赤髪が俯く坂田の顔を隠している。
「……ニセモノって何なんやろうね。この世のものじゃないんかな」
「…さか、た」
「…ごめん、皆。俺が、俺がレポート学校に忘れたから、だからこんな事に、」
ギュッと力を込める拳に思わず手をのせた。
優しい坂田のことだ。きっと、自分のせいで私たちまでもを巻き込んでしまったのだと責任を感じているんだろう。
私がのせた手にビクッと震わせた坂田は赤いさらりとした前髪の奥から私を見た。
髪と同じ真っ赤な目に動揺が渦巻いている。
私は何も言えず、触れた拳に力を込めることしかできなかった。
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菊香(プロフ) - 白雨さん» わ！はくちゃんありがとう〜！！めちゃめちゃ嬉しいです…そんなこと言ってくれて光栄ですありがとう(;;)更新のペース上げれたらな、と頑張るのでこれからもお付き合いください* (2019年9月26日 5時) (
レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - コメント失礼します〜！ 菊ちゃんの作品の中で1番好きな作品がこの『ニセモノを探せ。』なんだけど、やっぱり考察も入るから一つ一つの表現と言葉が印象に残るし、文もまとめられてるからすっと頭に入ってきて凄く読みやすかったです！更新待ってます……！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 乃都さん» わわっ、ありがとうございます！とても嬉しいです…励みになります(;;)これからもお付き合い頂けると幸いです〜！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
乃都 - 分かりやすい表現で､メンバー一人一人の性格や口調も掴めていながら読めば読むほど推理や推測も出来私などでは､表し用の無い程素晴らしい作品です。こんな素敵な作品を見せて頂きますありがとうございます。 (2019年9月25日 17時) (レス) id: ddd9224e3c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - イチさん» うふふ( *´艸`)更新がんばりますね！ (2019年8月18日 17時) (レス) id: 2f8e2c41d8 (このIDを非表示/違反報告)
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