永遠なんてものがあるのなら。【urt】

永遠なんて*6 ページ6

お互いの予定が会う日が決まり、映画の名前も聞かずに場所と時間だけ決めて終わった。

まぁ映画はAが見たいんなら別にいいか、なんでも。
なんて考えてしまう俺は重症なんだろうか。


仕方ないだろう。

叶わないと思っていた恋が叶って、こうして彼女の隣を当たり前のように独占できているんだから。



この一瞬の幸せさえも、逃したくない。
今日見たばかりの彼女の笑顔をこの先もずっと、それこそ永遠に忘れたくない。


そう、切に願った。







そうして迎えた映画を見に行く当日の朝。

いつも通りの目覚めで何一つ変わってはいないのに、起きた途端変に胸がざわついた。
それはまるで、これから先に起こる何かを俺に教えてくれているようなそんな気がして。

虫の知らせ、というものだろうか。



なんだか、今までの幸せな日常が崩れていってしまうような。
このまま上手くいっていた事が全て消えていってしまうような。


嫌な予感が胸を過ぎる。




………きっと、疲れているんだ。
疲れがあまり取れていなくて頭がもやもやとするんだ、きっと。


不安な気持ちを掻き消すように頬を1回バチンッと叩く。



「……いった！？」



……思ったよりも強く叩きすぎたみたいだ。
素直に痛い。




なんやかんやで準備をして待ち合わせ場所に向かった。

今日は天気がいいから歩いていくのも案外悪くないかも。
そう思ってぽかぽかとした日差しの中歩いていると、チラリと公園が視界の端に映りふと彼女の事を考えていた。


俺とAが会ったのはこの公園。
たまたま泣いていたAを見つけた…だなんて、まるで少女漫画のようだけど実際にそうなのだから仕方ない。

そこから話を聞いたりして仲良くなって、今に至る。



あの頃は俺がAの事を好きになることも今こうしてデートしているということも想像してなかったな。




そんな過去の事を振り返っていると、待ち合わせ場所に着いた。


待ち合わせ時間の5分前。

着いてすぐに彼女が走ってやってきた。





「ごめん！待たせた？」


「俺も今来た所だから大丈夫」


「本当に？あの少女漫画あるあるじゃなくて？」


「本当に今俺もついたばっかりだから」





なら良かった、とホッとした表情を見せるA。


緑色のフレアスカートで来たAは女性らしい服装で。
……素直に可愛い。




「……服、いいんじゃねーの」


「本当！？嬉しい！」

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