続きを*4 ページ4
なんで、俺が選ばれたんだろう。
疑問はあるけれど、まぁいいやと思えてしまう。
それはこの世界を少しでも気に入り始めたからだろうか。
「そういえば、さ」
「なに？」
言っていいものなのか、と口に出すのを躊躇ってしまう。
けれど彼女が「なんでも聞いて」と言うので口を開いて質問をした。
「なんで、意識不明になったの？」
「あー、交通事故。打ち所が悪かったみたい」
へらっと笑いながら言う彼女だが、無理をしているのは一目瞭然だ。
というか怖いのが当たり前だろう。
意識不明になって、なにも動かす事が出来ない一人ぼっちの世界。
未来があるかどうかすらも分からない、そんな不安定な状態。
「……辛かったんだろ」
「っ、え」
「無理、しないでいいよ。って、知り合って間もない俺が言うのもあれだけど」
「………もう、時間みたいだよ？」
◆
その彼女の言葉を最後に、ハッと気がつくと夢から醒めていた。
横にはピピピ…と鳴る目覚まし。
はぁ、と小さくため息をついて目覚ましを止める。
『………ありがと』
俺の意識が飛ぶ直前。
そう言って照れ臭そうに笑っていた彼女の顔が鮮明に瞼の裏に映る。
出会ってからずっと明るかった彼女。
今思うと、全ての笑顔が心からのものではないように感じてしまう。
それでも、さっき意識が飛ぶ直前に見た照れ臭そうな笑顔は心からのものだったように感じる。
一人ぼっちで未来の見えない不安に押しつぶされているような彼女を救ってあげたい。
俺はそんな事を思ってしまっていた。
◆
「……たさん、うらたさーん」
「おわっ」
ハッとすると目の前には俺の顔を覗き込む坂田。
「うらたさん、なんか今日おかしいんやけど。なんかあったん？」
「あー……」
救うと言っても一体どうすればいいのか。
そう思って悶々と考えていたら意識がそっちのほうに集中してしまっていたようで。
心配そうに俺を見る坂田に、あ と思いつく。
「お前さ、看護師だよな？」
「ん、まぁ」
「なら意識不明になったやつがどうやって回復することが出来るか、わかる？」
「………へ？」
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翡翠琥珀(プロフ) - もう二年以上経ってるこの作品を今更読んでしまったことに後悔いています。もっと早く出会うべきだった…！！めっちゃ最高でした。短編なのにこんなにもグッとくる……他の作品も読ませていただきます！！ (2020年9月26日 18時) (
レス) id: 387b2ce801 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 月読さん» わわ、ありがとうございます…本当に嬉しいです…！！短編だったので内容が伝わったのか不安でしたがそう言われてホッとしました(笑)マイペースに頑張っていきます(^^*)コメントありがとうございました* (2018年8月17日 11時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - かなりの短編なのに、こんなにも感動してほっこりとした気持ちになるとは思っていませんでした…最後は感動で鳥肌と涙が…笑 完結お疲れ様でした！これからも頑張ってください、応援しています( ；∀；) (2018年8月17日 1時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
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