手を伸ばしても、君には届かない。(kz×短編集)

3-2 Fin. ページ8

最初はただのクラスメイトだった。
そして、俺の家にやってくる変な奴。


俺はその夜、ベッドに転がりながら考えた。




でも、kzのメンバーに入ってから立花の良さを知った。

優しいところ。
不器用なところ。
トロイところ。
笑顔が可愛いところ。
誰かのために必死になれるところ。
心からkzを大切にしているところ。

それは数え切れないほどで、良さを知ると同時に立花がいとおしく想うようになった。



＿＿＿＿本当は想ってはいけないのに。



俺の結婚相手はもう決まっている。
それは七鬼一族の血を守らなければいけないから。

それは自分でもよく理解しているつもりだった。


それなのに。




もしも、俺がこの家の息子じゃなかったら。
ごく普通の一軒家に家族と一緒に住んでいて、ごく普通の生活を送って。
そして、心から愛する人と結婚する。


そんな普通のことが出来たのではないか。



嗚呼、ダメだ。
また空想をしてしまう。

そんなことを思っても、現実では何も変わらないのに。














“もしも”なんて都合のいい言葉だ。
自分の好きな世界に浸ることが出来る。




けれど、やっぱり思ってしまうんだ。




“もしも”って。



叶うはずの無い願いを。







Fin.

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