昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ27)

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となり*27 ページ27

「瀬川さん、お昼まだ食べてない？」

近くのショッピングモールに入った私達。
ぶらりと歩いていると、尋ねられる。

その時、返事の代わりにグーッと鳴るお腹。

ああああ!!!!私の体空気読めよ!
恥ずかしくて、下を向く。

「…はい、まだ食べてないです。」

あははっと笑われて、余計恥ずかしくなる。
うぅ、朝ごはんもう少しちゃんと食べて来れば良かった……。

「俺もお腹空いてきたし、ちょっと早いけどお昼にしようか。
ランチタイムになると、店混んじゃうから。」

その言葉が嘘なのか分からないけれど、さかたんの気遣いにやっぱいい人だなぁと改めて実感するのであった。

さかたんと入ったのは、オムライス屋さん。
やはり、まだ人も多くなくてすんなりと席を案内してもらった。

案内されたのは、ボックス席。
当たり前だけど、さかたんと向かい合う形になってしまう。

1人で勝手にドキドキとしていると、メニューと睨めっこをしているさかたんが顔を上げた。
私はちょうどさかたんの方を向いていたので、目が合ってしまう。

「よし、俺決ーめた。瀬川さんはどれにする？」

早くなっていく鼓動を感じながら、メニューを見る。
あぁ、私の心臓今日一日持つのだろうか……。

メニューを見ると、全て美味しそうでものすごく悩んでしまう。
こんなにオムライスって種類あったんだ…。

「結構悩んでるね。」

それは、さかたんに苦笑されてしまうくらい。

「んー、これとこれで悩んでいるんだけど……。」

……どっちも食べたい。どっちも美味しそう。
うーんとまたも悩む。

「あ、俺選んだやつこれだから少しあげるよ。」

そう言って、私が悩んでいたオムライスの1つを指差す。

「え、本当!?ありがとう!」

両方食べれるということに、嬉しくて思わずテンションが高くなる。

そんな私の様子を見て、あはっと笑ったさかたんはベルを押す。

店員さんに、私の悩んでいたオムライス2つの名前を言っているのを聞きながら思った。
さかたん、君は天使か。