昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ9)

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となり*9 ページ9

「その特典は、ライブ後に開催する俺の握手会の参加権!
まぁ、ライブ終わった後の汗かいた俺の手を誰が好んで握手するかっていう感じやけどな。」

笑いながらいうさかたん。

「きゃああああ!!!!!」

一気に歓声が飛び交う会場内。
もちろん私も、叫んでしまう。

さかたん、何言っているんですか。
これはなんとしてでも当てたい。
さかたん、そんな特典考えるなんて神ですか。

「で、当たるのは10人だけ!
ごめんな、俺の体力の問題だわ。」

こんな大人数からたったの10人……。
当たる確率はとても低い。

けど、当たりたい!!

「番号言ってくよ。
75、148……。」

会場の一部で悲鳴があがった。
きっと、当たった人なのだろう。

うん、気持ちは分かるよ。
目の前にさかたんがいて、さかたんと握手できるなんて…。
いや、もしかしたら話せるかもしれない。

ダメだ、妄想ばかり暴走していく。

「最後の3人!」

あ、もうあと3人か…。
当たりますように。そう願って、手をギュッと握り目を瞑る。

「3029、7589、8111。
今呼ばれた10人はライブ終わった30分内にスタッフにチケット見せてな!
呼ばれなかった皆、ごめんね。でも、まだまだライブは続くからもっと盛り上がっていくよ!!」

……待って、今3029って言ったよね。
私のチケットをもう一回確認する。
そこには間違いなく、3029と書かれていて。

「うわああああ!!マジかああああ!!!」

こんな場面で、女子らしく叫べないのは置いておこう。
当たったことにまわりも気づいたのか、おめでとうございますと言ってくる。
その声に、ありがとうございますと答えながらも私の興奮度はまだ冷めない。

待って、夢じゃないよね。
さかたんと握手が出来る?私が?あのさかたんと?

一生分の運を使い果たした気がする。
でも、後悔はない。

……この時の私はこれから起こる出来事をなんも予測していなかった。