昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ25)

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となり*25 ページ25

「……よし。」

鏡で自分の姿を何回も確認する。

どこか変な所は無いだろうか。
少しでも、可愛くなれているだろうか。

今日は、土曜日。
つまり、さかたんと出かける日。

バッグの中にはちゃんとハンカチが入れてある。
……もう、あんな失態は起こさない。絶対に。

なんだか緊張して、もともと考えていた家を出る時間から10分前に玄関に向かっている。

服は、センスはいいはず。
なぎさと急遽ショッピングに出かけて、選んでもらったから大丈夫だろう。

「行ってきます。」

靴を履き、ドアノブに手をかける。

「あら、Aちゃんお出かけかい？
可愛い格好しているね。行ってらっしゃい。」

泊めてもらっている叔母さんが顔を出した。
叔母さんの言葉に少し安心する。

「ありがと、行ってきます。」

駅前に着き、時間を見ると9時30分。

待ち合わせの時間の30分前。

…少し早い気もするけれど、これくらいでちょうどいいだろう。

と、思い出す。

確か、さかたんって待ち合わせとか遅れるタイプじゃなかったっけ？
生放送とかで聞いたことがある気がする。

……待つのは得意だ、大丈夫。

そう思いながら、キョロキョロと周りを見渡す。

「いた……。」

壁にもたれかかり、スマホをいじっているさかたん。
黒いコートに、ジーンズ姿で赤っぽい髪。

一目見ただけで、さかたんだと分かった。

周りを歩く女の子たちがチラチラとさかたんを見ている。

そうなるのも分かる。カッコいい。
特に服装が派手でもないし、シンプルなのに人目を引いてしまうのはすごいと思う。

そう思いながら、さかたんの元へ向かう。

「遅れてごめんね、寒かったでしょ？」

北海道よりは寒くないけれど、一月はやはり寒い。
冷たい風に、手足がかじかんでくる。

「いや、俺が早く来ただけだから。気にしなくてええよ。」

そう言うさかたんの鼻は赤くなっている。

「坂田君って、早めに行動するタイプだったっけ？」

そう聞くと、さかたんは照れくさそうに頬をかく。

「いつもは結構遅れるタイプなんやけどね。
瀬川さんを寒い中、待たせたらダメやなって。」

少し笑うさかたんに、胸がキュンとしたのは秘密だ。