となり*22 ページ22
「話すだけでわざわざ、ここから出る?さては、何かあったんちゃう?」
グッと言葉が詰まる。
歌い手だってことは言えないよね。
なぎさがそのことを知っているかどうかも怪しいし。
なんて言えば良いんだろ…。
その時、後ろから腕を引っ張られた。
いきなり後ろに引っ張られて、バランスを崩してしまう。
けれど、誰かに支えられて倒れずにすんだ。
誰だ、いきなり手を引っ張ってきたのは。
そう思って後ろを振り向こうとすると、頭を固定された。
そして、耳元でボソッと呟かれた声。
「さっき言い忘れてた。俺が歌い手やってるってこと多分この中で瀬川さんくらいしか知らないから。秘密でお願い。」
早口に言われた言葉。
サッと離れた相手。
さっきの声は、聞いていて心地よい少し低い声は、
間違いなく数分前まで一緒にいた坂田君のもので。
急いで振り向くと、坂田君はもう皆の輪の中にいた。
でも間違いなく彼だった。
耳に囁かれたということを思い出し、顔が一気に熱くなる。
その場には、あのハンカチと同じ芳香剤の匂いがまだ残っていて。
彼の姿がまだこの場に残っていて。
「ほらやっぱり、何かあったんでしょ?」
ニヤリと聞いてくるなぎさ。
「そういや、まだAってあいつのこと好きなん?」
周りに聞こえないようになぎさが言った声。
好き という言葉。
さっき、奥に追いやった感情。
それはまさしく、その言葉にふさわしく。
ダメだ、けじめつけるつもりだったのに。
まだ、私は彼のことが、
「…………好き。」
そう言葉に発してしまうとより現実味が増してしまい、余計そう思えてくる。
「やっぱ、そうなんだ。応援しとるよ、私!!」
力強くそう言ってくれたなぎさ。
改めて、友達っていいな と思った。
そして、そこからは坂田君と話すことも無く 私は、懐かしい思い出話などに花を咲かせていた。
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菊香(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!早速お邪魔しますね(^^) (2018年2月1日 20時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 菊香さん» 大丈夫ですよ!お待ちしております! (2018年2月1日 7時) (レス) id: 26a9623291 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - サラさん» まじですか!!ボード行っても大丈夫でしょうか? (2018年1月31日 11時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - うしさせの春ツ北海道参戦します! (2018年1月31日 5時) (レス) id: 26a9623291 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - ちーちゃんさん» ぴゃああああ(( (2018年1月30日 23時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
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