転生した 苺の王子は 鬼殺隊 5

佰 玖拾 玖 話 ページ11

累side




ハラ…




累「！？」





何だ？何をした？
奴の間合いに入った途端、糸がバラけた
1本も届かなかったのか？
最硬度の糸を………斬られた？



そんなはずはない
もう一度……





もう一度と手を伸ばした時、俺の頸は斬られていた
回る視界の中、あの兄妹が視界に入った



くそっ！くそっ…
殺す！殺す！あの兄妹は必ず……




累「！！」




最後に殺してやると思った兄妹を見て…
兄が、倒れている妹を、優しく抱きしめているのを見て…



……俺のその思考は止まった





ーーーーーーーーーーー



母鬼「累は何がしたいの？」



…答えられなかった
人間の頃の記憶がなかったから

本物の家族の絆に触れたら、記憶が戻ると思った
自分の欲しいものがわかると思った



…そうだ、俺は




ーーーーーーーーーーー




生まれつき、体が弱かった
走ったことがなかった
歩くのでさえも苦しかった



無惨様が現れるまでは…



無惨様は、床に伏せってる俺にこう言った




無惨「可哀想に、私が救ってあげよう」




両親は喜ばなかった
強いからだを手に入れた俺が、陽の光に当たれず、人を喰わねばならないから



昔、素晴らしい話を聞いた
川で溺れた我が子を助けるために死んだ親がいたそうだ

俺は感動した
何という親の愛
そして絆

川で死んだその親は、見事に"親の役目"を果たしたのだ




父「何てことをしたんだ、累…!!」




俺が人を喰った時、俺の父は俺を殺そうとした


なぜ俺の親は俺を殺そうとするのか
母は泣くばかりで、俺を庇ってもくれない

偽物だったのだろう
きっと、俺たちの絆は…本物じゃなかった


俺は両親を殺した




母「…」

累(何か言っている。まだ生きているのか…)

母「丈夫な体に産んであげられなくて…ごめんね……」

累「！！」




その言葉を最後に、母は事切れた
死んだ


「大丈夫だ、累。一緒に死んでやるから」
殺されそうになった怒りで、理解できなかった言葉だったが
父は、俺が人を殺した罪を共に背負って死のうとしてくれていたのだと…
その瞬間、唐突に理解した


本物の絆を、俺はあの夜、俺自身の手で切ってしまった




無惨様は、俺を励ましてくださった




無惨「全ては、お前を受け入れなかった親が悪いのだ。己の強さを誇れ」




そう思うより他、どうしようもなかった
自分のしてしまったことに耐えられなくて、たとえ自分が悪いのだと分かっていても

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