ご近所のワタナベさん。 (ページ33)

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"聞いて欲しい事がある。"

真剣な目をして口を開いた翔太さんに呑まれて、気付けば

「はい」

と答えていた。

ふう、と息を吐き話し始める。

"聞きたくなくなったら、止めて。"

そう前置きをして。

『まず、Aが見た子とは付き合ってない。と、言うか今俺に彼女は居ない。

…俺さ、自分で言うのもなんだけど、それなりにモテて、遊んできたの、今まで。Aが見たのも、遊び相手の1人。』

正直、聞いていて気分のいい話ではないことは悟っていた。けど、彼が私の話を聞いてくれたように、私も全部聞きたかった。

『何なら、付き合ってきた人もその延長みたいな感じだったし、結局自分の事しか考えてなくて。

…でもそんな時に、本気で好きになれる子を見つけた。その子と関わる内に、ちゃんとしなきゃって思って。まあ、最後ってせがまれて応えてるから、"ちゃんと"には程遠いんだけど。』

ああ、だからあの日、朝に帰ってきたのか。なんて、聞いている内容は苦しいのに、頭の中だってごちゃごちゃしてるはずなのに、こういう思考はいやに冷静だった。

『あれで、俺の中ではケリをつけたつもりだった。けど、結局傷付けてた。本当に、ごめん。』

「…翔太さん、『ねえ、A。』」

『俺、Aが好き。』

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