ご近所のワタナベさん。 (ページ32)

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『ちょっと俺も着替えてくるから、その辺適当に座っといて』

「は、はい！」

促されるまま、座らせてもらう。

話したいし、話したくない。矛盾しまくった複雑な気持ちに更に、彼の部屋である事実がのしかかってきていてもはや軽くパニックになりそう。

『お待たせ。あと、お茶でいい？』

「あ、ありがとうございます！」

着替えて戻ってきた翔太さんに素直にお茶をいただきながら、改めて緊張を実感する。

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どう切り出せば、

ひたすらそればかり、貰ったお茶を飲みながら考えていた。

気まずい沈黙が流れる。

それを破ったのは、翔太さんで。

『あの、さ、避けられてた理由って、聞いていいヤツ？』

「……これは、本当に、私の問題なので、分かりやすく態度に出てしまって申し訳なかったんですけど、

あの日、翔太さんと、女の人が一緒にいる所を見てしまって、」

ひとつひとつ、ゆっくりと話した。

元は単なる私の嫉妬であること。勝手に気まずくなって勝手に避けてしまっていたこと。残業で遅くなった日に心配されて、嬉しさと切なさとで辛かったこと。全部、全部。

一緒にいる所を見た、と言った時は少し驚いたようで目を丸くしていたけど、それでも何も言わずに最後まで聞いてくれた。

「あの、翔太さん。私、翔太さんが、」

勢いのまま、気持ちまで伝えようと思った。

彼女さんがいるのなら、私がこうやって居座り続けるのも申し訳無い。この際、全てに片をつけたくて。

でも、そこで初めて彼は私の言葉を遮った。

『…A、聞いて欲しい事があんの。』

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