ご近所のワタナベさん。 (ページ24)

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「…はぁ、」

今日1日、溜息しか出ていない。

朝あの後も、昼ごはんを食べている時も、もう少しで定時だ！と普段は意気込めるこの時間帯も。

もちろん、原因は今朝のこと。

きっとあの日見たのは彼女さんなのかな、

朝帰りなんてするんだから、彼女さんか。

と言うか翔太さんに彼女居ない方がびっくりだし…

せっかく自覚してきた恋心も虚しく失恋かぁ…。

こんな考えが頭の中でグルグルと渦巻く。

『Aさん、今日元気ないね、大丈夫？』

上司にも言われてしまって。顔には出さないようにしてたはずなのに、思いっきり出ていたらしい。深刻そうな顔してたよ、と言われた。

体調悪いなら早めにあがる？とも言われたが、寧ろ帰りたくない。

帰ったら悩みの種がすぐ近くにいるのだから。

少しだけ残業をして帰ろうと会社に残った。

仕事に没頭した方が他の事を考えなくて済むし、楽だった。そのせいか気付いた時には

21:43

そう示す時計が。

思ったよりも長く居座ってしまって、慌てて帰る準備をする。

マンションに着く頃には23時になろうとしていた。

そう言えば何も食べてなかったな、と自覚すると急にお腹がすいて、コンビニで軽くおにぎりを買って食べた分で尚更遅くなったんだろう。

早くお風呂でも入って寝よ、そう思って部屋へ向かうと、

『…おっそ、』

「…何、してるんですか、」

ドアの前には、今1番会いたくない人。

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