ご近所のワタナベさん。 (ページ23)

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楽しいことがあっても、嫌なことがあっても、次の日は何食わぬ顔でやってくる。

…曜日的に、翔太さんと会う日だった。

辰哉くんに気を紛らわして貰ったとは言え、気まずさは拭えない。

会わないように少し、早く出よう。

そう思って家を出たのが間違いで。

「…あ、」

『おー、おはよ』

目の前から来るのは紛れもなく翔太さん。

…目の前から。

つまり、彼は、帰ってきた。

服だって昨日見たものと同じ。

……何があったかを理解するのに、1秒もかからなかった。

「…っ、はよ、ございます、」

震える声を隠すように下を向いて、必死に声を出して挨拶だけを返す。

でも、明らかに様子がおかしい私に

『…A？なんかあった？』

怪訝な顔を浮かべてこちらを見る翔太さん。

あなたのせいです、なんて事は言えない。

そもそも恋人ですらないし、翔太さんだってきっと私相手にそういうつもりもないだろうし。

ただ、どう見ても態度が変なのはバレているのに、隠し通さなきゃいけない気がして。

「いえ、急いでるんで、」

『え、ちょ、おい！A！？』

それだけ言って、逃げるように少し小走りにその場を離れた。叫ぶ翔太さんの声も聞こえないフリをして。

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