ご近所のワタナベさん。 (ページ18)

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「………っは、マジか！！！！！！！！！」

玄関に入った途端叫ぶ。

いや、叫ぶと言っても隣だから。気付かれたらヤバいから抑え目にはするんだけど。

呼んでしまった。

翔太さん、だなんて。

いや、単に名前を呼んだだけって言うのは分かっているんだけど。

…私って、言われた通りなかなかにウブなのかもしれない。

でも、今日一日2人で過ごして、名前呼びに変わって、どれだけ大きな変化があったんだろう。

明らかに縮まったであろう距離に、また自然と頬が緩む。

朝迎えに来てくれた所から、車に乗せてもらって、色んな話をして、私の優柔不断さに付き合ってもらって、辰哉くんにも会って、…呼び方も変えて。

今日の出来事を片っ端から思い出す。

楽しかった。本当に。

ただ、こんなに考えてるのはきっと私だけなんだろうな、なんて考えると、切なくもなる。

"新しい彼女？"

"今度は大事にしろよ"

同時に思い出される辰哉くんの言葉。

付き合っていた人が居るなんて当たり前だ。

私にだって元彼は一応居るんだから、あんなにかっこいい人に彼女が居なかった方がおかしい。

…もしかしたら、今現在彼女さんとか、もしかしたら好きな人とか居るんじゃないか。なんて。

考え出すと止まらなくなる。

この辺の話はしたことが無かったから。

「はーーーー、考えても分かんない！！！！」

楽しかったのに、こんな重たい気持ちになるのは嫌で、自分の思考を断ち切るように声を出してお風呂に向かった。

買ったばかりの美容品を持って。

あ、次にあったら使った話をしよう、と考えながら。

恐らく、今日のスキンケアが今までで1番入念だった。

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