重ねて。 (ページ6)

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6.暖かくて、甘い。ページ6

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それからは持ってきた荷物を片付けたり、

夕食を頂いたり、

お風呂に入ったりと、

慣れないながらも新しい家での生活を少し楽しんでいた。

でもそんな感情も、

あの夜特有の寂しさで打ち消されてしまった。

ベッドに横にはなったけど、なかなか眠れない。

少し携帯でも触ろうかと思ったとき、

コンコン

と、部屋をノックされた。

『……はい…？』

ドアを開けると、

『木村さん…』

初めてみる部屋着姿の木村さんが、マグカップを2つ持って立っていた。

柾「初日だし、眠れないんじゃないかと思って。はい、ココア。」

『…大正解です…ありがとうございます…。』

木村さんを部屋に入れ、

まだソファは無いので、並んでベッドに座った。

貰ったココアを一口。

甘さが口に広がって、それだけで涙がでてしまいそうだった。

あぁ、自分が思ってる以上に、

心は不安で堪らないんだと、

初めてそこで気が付いた。

柾「…慣れなくて、不安だよね。」

木村さんの顔を見て、思った。

涙の理由はもうひとつあったと。

『……私、効率良く仕事できなくて、会社で迷惑かけてばっかりで、……それなのにまた木村さんにお世話になっちゃって……』

話しながら、気付くと頬に涙が伝っていた。