【QK】遠い背中を追いかけて【ini】 (ページ8)

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私の目指しているのは、最難関ともいえる大学だ。成績はそこそこ良い方とはいえ、悠長にしていて受かるものではない。
わかっているのに、家で勉強しようとしても集中が保てなかった。QuizKnockの動画なら実質勉強だよな、なんて言い訳を盾に箸休めしてしまうことも。

勉強に努めてきた乾さんにこんなことを打ち明ける自分が情けない。

俯いた目線の先で、頼りない足が小石をこつんと蹴る。静かに転がったそれは、側溝の穴に吸い込まれた。

「……僕の場合は、なんですけど」

声に反応して無意識に顔を上げた。
乾さんはやはり、私の目を見ていた。

「小さな目標を立てて、それに向けて勉強を頑張るようにしていました」

「……小さな目標？」

「例えば、次の模試でどれくらいの成績を取ろうとか。小さな目標だとイメージがつきやすくて、やる気が湧くんですよ。そうやって少しずつ何かをクリアすることで、勉強が楽しくなって」

「なるほど……」

確かに、大学受験合格という目標は、今の自分にはまだ遠い。実感がないのは事実だ。

優しい風が歩道の木々と私たちの髪を揺らす。心地よい風だった。

乾さんの言うことはつまり、「楽しいから始まる学び」と近しいもので。
彼がQuizKnockに入社した理由は、そういうことなんだなと思った。

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