【QK】遠い背中を追いかけて【ini】 (ページ5)

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こんなところで立ち往生している怪しい女子高生にも優しい乾さんは、私のお辞儀に「いえいえ」と言いながらコクンと頷く。
うわあ、乾さんの生コクンだ……めっちゃかわいい……。

この人としばらく一緒に過ごせるなんて。

アンラッキーと思っていた今日がなんだか急に特別な日に感じられる。きっとこの時間は、神様からのご褒美に違いない。
脳内で神様を崇めようとすると、偉大なる河村拓哉様のお顔が浮かんだ。
私の中はいつだって、QuizKnockに溢れている。

「名前、聞いても大丈夫ですか？」

並んで歩きだしたところで、乾さんが私に問いかける。

「Aです」

「Aさんね」

んんんぐぐううううッ……！！！

大好きな推しが、隣で私の名前を呼んでいる……今日は命日ですか？
え、それとも私、実はもう生きてない？

ヤバい奴認定されないよう、その気持ちは内に閉じ込めてなんとか押さえつける。返事もろくにできず、頷くので精いっぱいだった。

乾さんはそんな私の態度をそこまで気に留めないまま、代わりに「あ」と呟く。

「すみません、こっちだけ聞いて。僕は、乾っていいます」

知ってます。

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