【QK】遠い背中を追いかけて【ini】 (ページ4)

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「……っと、この犬のロゴ、かわいいですよね」

偶然にも、帽子には柴犬のロゴがプリントされていたので、誤魔化しに利用させてもらった。

「え？ああ、えっと、そうっすね……」

明らかに「なんだいきなり」という表情で、小さな声を返された。
ちょっと戸惑わせてしまったようだけど、気にしていられない。

QuizKnockの乾さんではなく、ただの乾晃樹を見てみたいと思った私の我が儘。
ごめんなさい。
でも、せっかくの機会を逃したくなかった。

私が帽子を被り終えた後、ふと訪れる沈黙。その間に乾さんが一歩下がる。

このままだと終わってしまう。
それは嫌だし、何よりすごく困る。私は家に帰らないといけない。

「……実は、道に迷ってしまって。○○駅に行きたいんですけど、どう行けばいいかわかりませんか？」

「あー、僕、そこの近くまで行くんで、案内しましょうか？」

「え！そ、そこまでしていただくのは……」

「いやいや。困った時はお互い様ですよ」

「あ、ありがとうございますっ……！」

道を教えてもらって、そのついでに少しお話しできればいいなくらいに思っていたのに。まさかの展開すぎる……！！

感謝と感激が伝わるように、背骨が痛くなるくらいの勢いでお辞儀をした。

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