▽▲ 寝ても覚めても 4 ▲▽hkin,inhk

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慧は「大丈夫？どうしたの？」と繰り返す。
こんなカッコ悪いとこ、ほんとは見せたくないんだけど。



「こわいゆめ、みた？」

「んっ……でも、」

「うん」

「慧がっ…慧がきてくれた。おれ、嬉しくて…」

「…ふふ、そっかぁ」



慧の嬉しそうな声。ふわりと笑ったのは涙越しでもわかった。



「おれの思い、つうじたんだね」

「え…」

「おれね、ずっと…ゆめで苦しんでるひかるをね、たすけてあげたかったの。おれがその場にいたら絶対そうするもん。ひかるが苦しんでるの、いやだから」



子供にするみたいに優しく髪をすいて、撫でて、穏やかに慧は言う。



「ひかる、だいじょぶだからね。ずっとおれがいるからね」

「…うん。うんっ…ありがと、けいっ…」



俺だって、ずっと慧のそばにいるよ。


それからまた、慧を抱きしめて眠りについた。





・





暖かい日差しを感じて目が覚めると、俺の腕の中には変わらずに慧がいて、ほっと心が落ち着いた。

あの夢を見た翌日が、こんなに清々しかったことなんてない。



「んんぅ…おはよひかるぅ…」

「おはよ、けい」

「…んへへ、ひかる、やさしいかおしてるぅ」

「え？？」

「んふ、そのかおだーいすきっ」



くふくふ笑って俺の胸に顔を埋める慧。

優しい顔…？俺にはちょっとわからないし、相変わらず慧の前でもうまく笑えないことに落ち込むことの方が多いんだけどな。



「そんなことないよ。ひかる、知らないだけ。ひかるはずーっと優しい顔してるし、ちゃんと笑えてるよ」



おれわかるもん！と慧。それはもしかすると、慧にだけわかる微細なものなのかもしれないけど、慧だけにわかればそれでもいいのかも…？なんてね。

俺にしては珍しいポジティブ思考に自分でも驚いているうちに、すやすや、また可愛らしい寝息が聞こえてきたから慌てて慧を揺さぶった。



「けい！寝ちゃダメだよ！今日は撮影なんでしょっ？」

「ん〜やだぁ、もうちょっとだけぇ…」

「も、ダメだよっ起きてっ」

「やだ、ひかるともっとぎゅってしてたいもんっ」



そんなこと言われたら起こせるわけがない。

まんまと策略にハマった俺はぽかぽかと温かい慧の体温で再び眠ってしまった。


結局、起こしにきた慧のお母さんに一緒に寝ているところを見られて「仲がいいのね」と笑われてしまうんだけど、まあ、たまにはこんなのも悪くない。




・





ーただ、僕を信じてー






Fin

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