▽▲ 寝ても覚めても 4 ▲▽hkin,inhk

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「けい〜？洗濯物あるなら出しなよ？」

「はぁい」

「明日大学何時から？」

「んーと、2限から！」



平日の家事は基本的に俺がやる。慧はまだ学生だし、勉強が本業だから。そのかわり、休日は料理以外ほとんどお任せしてる。
最近はかなり上達して、少し潔癖な俺でも文句がないくらいきっちりしてくれるようになった。

まぁそうなるように俺が躾けたんだけど。


一人暮らしをしてたと言う割にかなりぎこちなく家事をやってた慧は、それはもう躾けがいがあって…笑
姑のように口煩くアレコレ教え込んだのが今では懐かしい。

だって、一緒に暮らすんだからね。
素性もほとんど数分前に知ったような状況で“飼う”ことを決めた捨て猫だから、俺の家のルールくらいしっかり従ってもらわないと困る。

細かい指示を出す俺を鬼でも見るような絶望的な顔で見てきたこともあったけど、なんだかんだ頑張ろうとしてくれたから、猫も結構忠誠心があるんじゃないか？と思ったんだっけ。



一通り家事を終えて、ソファにゆっくり体を沈める。

一日一本、サブスクで好きなドラマを見ると決めてるから、今日もまたリモコンを手に良さげなドラマを探す。


その時間になると、課題のレポートをする手を止めて、ぴったりと隣にくっついてくる自称猫。



「きょうは何みるの？」

「んー、サスペンス系」

「えー、絶対続き気になっちゃうじゃん！こんどの休みの日にしようよ〜」

「俺のついでで見てるんじゃないの？」

「でも気になっちゃうもん」



わがままで、気まぐれ。でも憎めない。

最初は…それこそ、少しだけ愛着が沸いてしまった捨て猫を保護しただけのつもりでいたけど、今ではこの関係を『悪くない』と思い始めている。

じゃあやっぱり他のにしようなんて思って画面をスクロールさせてるあたり、ね。



“…シュウさんのこと、気になるの。たぶん…好き。だから、一緒にいたい…それじゃあだめ？”



もうとっくに同じ気持ちだってことを、いつ話そうか。

どんな反応をするんだろうな。
猫は気まぐれだから、とたんにどこかへ行ってしまわないか少し不安だなんて、3ヶ月前の俺が笑うかもしれない。


それにソッチの方も…最初があんなだったから、ハードルを上げられていそうで怖いな、と思うのは30という歳のせいか。そもそも、そういう盛りの20の子について行けるのか不安にもなってくるけど…

まぁその時がきたら、最初の希望どおり優しく抱いてあげようと思っている。




Fin*

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