・ ページ19
一瞬、何が起きているかわからずに固まって、すぐに覚醒した。
「!!?わ、ちょっ…!」
「らいじょーぶ、」
「だだ、ダメだって、こんなっ…汚いからっ!」
慌てて引き抜こうとしても、慧が握って離さない。そうしている間にも、真っ赤な唇に挟まれた俺の指は、慧の口内で弄ばれている。
いくら慧が大丈夫だと言っても、衛生的にもこんなことさせたくない。…そう思う反面、慧のあまりの色気にあてられる。
口に含んだ指に舌を這わせて、吸って、甘噛みして…たまに何か考えるように唸ったり、分かったように笑うだけでも、俺の指には直接的に振動として伝わってきてびくびくと反応してしまう。
ただの指だと、そう思っても…伏し目がちになりながら何度も俺の指を吸う慧に、やましい感情を抱いてしまう。
「〜〜っ…!」
「…ふふ、ひかるは思ったとおり、やさしいねェ」
言って、慧はやっと口から指を抜いてくれた。
「慧!占いだって…!」
「これが占いさ。正真正銘、指占い」
悪びれる様子もなく、慧はにんまり笑う。
その姿に、なんだかとてつもなく力が抜けてしまった。慧の不思議な魅力に振り回されっぱなしだ。
「ひかるは優しくて真面目なんだね。真面目な人の手は固いんだよ、手を酷使するから。いつも誰かのために自分の手を動かしてる」
まだ俺の手を握ったまま、慧は言う。その目は愛おしそうに俺の指を眺めている。
「口の中に入れれば大体わかる。その人の人となりも、何を大事にしているのかも、どんな生き方をしてきたのかもね。ひかるの指は誰かを傷つけないようにきちんと爪が揃えられてる。優しい証拠さね」
「そ、そんなの、誰だって…」
「そう?なかなか気付ける人はいないもんさ。それに、今まで汚いなんて言っておれを気にしてくれたお客はいないよ」
おかしそうに笑ってから、「こんなに真面目な指は初めて味わった」と慧はつぶやいた。
ぺろりと唇を舐めた赤い舌が脳裏に焼き付いて、それからしばらく離れなかった。
278人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺす。(プロフ) - みつあめさん» ありがとうございます、頑張ります!😂わかります!そこ大好きです!笑笑 (2022年10月9日 23時) (レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - ぺす。さん» こちらこそですー😭‼️新作のいのひかも楽しみにしております…!あの動画はふとした時に見返したくなりますね 笑「慧も書いてってばー!」からの「俺シード…?」が良すぎて何回でも見れます☺️ (2022年10月9日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - みつあめさん» なんと、読んでいただいていたなんて…!恐縮です…😂ちょうど先日も見返していたんですがみつあめさんの作品を読んでまた見返して来てしまいました!あみだのいのちゃんは可愛いし何回見ても最高ですね😊 (2022年10月9日 20時) (レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - ぺす。さん» ありがとうございます!ぺす。さんのいのひか作品、私も楽しく読ませていただいてます!クリスマス動画最高ですよね…いのひかが隣同士なだけでワクワクなんですけど、ほどよく絡みがあったのが最高でした☺️永久保存版です 笑 (2022年10月9日 20時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませていただいております…!今日更新の「境界線」最高です!とってもよくわかります!私もあのクリスマス動画のいのひかスクショして切り抜いてあります! (2022年10月9日 18時) (レス) id: 8fc2c5dabd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みつあめ | 作成日時:2022年2月26日 21時