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最後まで不貞腐れていたゆうりをマンションの玄関まで見送って、部屋に戻って来た。
あぁ、今日はほんとうに…ゆうりにかき乱されたな。
ラグの上に隣同士で腰を下ろす。
なんだか今日は、こんなに近いのも久しぶり。そっと腕をまわしてひかるに抱き着いた。
「わっ…どうしたの？」
「ゆうりばっかり構うからぁ…」
「慧とは毎日会ってるでしょ？侑李とはたまにしか会えないもん」
甘やかしてあげたいでしょ？ってひかる。
お姉ちゃん(私)が家に居なくて寂しい思いしてるんだから、めいいっぱい甘やかしたいって、どこまで優しいの？
ひかる、末っ子だからなぁ。ゆうりのこと、本当の妹みたいで可愛いのはわかるけどさ。
「でも妬いちゃう！！」
「えー？だって、侑李は慧の妹だよ？」
恋人の妹は自分の妹同然ってこと？恋愛対象ではないって意味？
…もちろんひかるがゆうりのこと、そーいう目で見てないなんて分かるけど、ゆうりはどうかはわからないじゃん。
だってゆうり、ほんとにひかるのこと好きだもん。
それがどっちの意味かなんて聞いたことはないけど。
あーあ、やっぱり妬いちゃうな。
正面にまわって、ひかるの肩に顔を埋めた。もう今日は離れないもんね。
「…もー、慧ったら、」
「あ゛ーーなんかひかるからゆうりの匂いがするっ！なんかやだっっ！！」
「そんなこと言わないの」
「だって…だってさぁーっ、ゆうりは可愛いけどさぁーっ」
「うん、」
「可愛いよ？ほんと、昔から可愛いの。なんでも買ってあげたくなっちゃうし、なんでも許しちゃうのね？」
「うん 笑」
「だけどさぁ…だけどっ……ひかるだけは、だめなの」
顔を埋めたまま、背中に回した腕をきつくする。
「ひかるだけは、ゆうりにあげたくない」
ね、ほんとだよ？ひかる。
「あたしが、ひとりじめするの」
「っ、…も、ばかっ…」
頭を撫でてた心地いい手が、背中に回って私のこともきつく抱きしめた。
私のめんどくさくて重い言葉を受け入れてくれるひかるも、大概重いのかも。
しばらくそのまま、ふたり抱き合って。
私はやっぱりひかるのことが大好きだって実感する。
「…慧？いつまでこうやってるの？」
「やだ、うごかない。今日はずっとこうしてる」
「寝れないじゃん。まだお風呂も入ってないし」
そんなこと言いつつ、ひかるは子供をあやすみたいに背中を叩いてくれるんだ。
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作者名：みつあめ | 作成日時：2020年11月29日 0時
