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眩しい。

瞼が重くて、少し開くのがやっとだ。


焦点が合わない。真っ白な中に、ぼんやり見える派手な色はなに…?



「ひか、る…?」



ダメだ、声がうまく出ない。

少しでも動こうとすれば、痛くない場所がないってくらいどこもかしこも痛くて息が苦しくなる。


やっぱりこっちが、現実…


夢の中とのあまりの違いに打ちのめされそうになったとき、優しい手が俺に触れた。



「いのちゃん……?」



あぁ、ずっと聞いてたのに…すごく久しぶりだ。



「いのちゃんっ…いのちゃん!!」

「光落ち着け、」

「薮、先生呼んできて!!っ、いのちゃんわかる!?」

「ひ…か…」

「いのちゃんっ…よ、よかった…よかったぁ…!」



ひかるごめん。泣かせてごめんね。

やっと焦点があってきた目に、だいぶやつれたひかるが映った。



「ひか、る…」

「どうしたの!?苦しい?痛い?」

「…ごめっ……けんか…ごめんね…?」



ひかるに触れたいのに腕一本動かすだけで大変だ。

なんとか声は出るから、ずっと伝えたかったごめんねを伝える。


ひかるはみるみる顔を歪めて、大きな目から涙を零れさせた。



「もうっ…なんだよ、それっ…」



ごしごし、子供みたいに目元を拭って、それでも涙は止まらないみたいで。



「もう…そんなのどうだっていいよ!いのちゃんがっ…生きててくれたら何だって…」

「ひかるっ…」

「…うぅ…ごめんっ…おれの方こそ、ごめんっ…」



ふわり、抱きしめられて安心する。
あったかくて、安心する、ひかるの匂いだ。

やっぱりこれは、現実でしか感じられない。



「一生謝れないかと思った…すごい、後悔したっ…」

「…うん…」

「生きてて、よかった…目、覚ましてよかった…!」

「…うん…」



あれからお医者さんが来て、俺はあの夢で見たのと同じく車に轢かれたということを知った。

そしてこの病院に運ばれて、1週間眠っていたらしい。


ひかるが半狂乱になってたことも薮から聞いた。

薮も少しやつれていて、ちょっと申し訳なかった。



夢の中とは違って、何もかもが大変だ。


あの喧嘩はなかったことにはならないし、すぐに仕事には戻れない。
身体中痛くて苦しいし、もう本当にとにかく痛くて…おれはひかるを抱きしめることもできない。


だけどやっぱり、こっちの方が良かったと思うよ。


どんなに苦しくても、ひかるが居てくれる世界に戻ってこられてよかった。



(TRUEEND)

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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年11月29日 0時

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