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無機質な音が一定の間隔で響く、静かな空間。
白いベッドの上、真っ白に生気を無くした伊野尾が横たわっていた。
管に繋がれた腕。包帯だらけの頭。
なんだよこれ。なんでこんなことに。
「っ…いのちゃ…おきてっ…」
「…」
「んでっ…まだ仲直りもしてないのにっ…」
ベッドの横、反応のない伊野尾に縋り付いて泣いてる光。
伊野尾がラジオの収録に向かう途中で事故にあって、この病院に運ばれてからずっとあぁだ。
一睡もしてなければ何も口にしてない。
「…光、お前…いつから寝てないんだよ、俺が変わるから休めって…」
「何言ってんの！？」
振り返った光は、息を呑むくらい憔悴してて、それでいて切迫しきった顔で俺を睨み上げた。
「いのちゃんが辛い思いしてるのに寝れるわけないじゃん！！いのちゃんがっ…いつ容態おかしくなるかもわかんないのに！！！」
「光…」
睨む目元は真っ赤で、深いクマができている。
伊野尾の手を掴む光の手は力が入り過ぎて真っ白だ。
光は、狂ったようにベッド横を離れない。
その目は本気で、俺は強く言えなくなる。
「…俺のせいだからっ…ケンカして、いのちゃんに色々背負わせた…それで、事故に…」
「それは違…」
「じゃあなんで！！いのちゃんが事故に遭わなきゃいけなかったんだよ！！」
「っ、」
「俺があんなこと言わなきゃよかったんだ！！ちゃんと謝ってれば…全部俺のせいでっ…！！俺のせいでいのちゃんが！！」
「やめろ光っ…やめろって！！」
床に拳を叩きつける光を必死で止める。
伊野尾がこんなことになって、光も精神的に追い詰められてるんだ。しかも、寝てないし食べてないじゃなおさら。
このままじゃお前が壊れる。伊野尾が起きた時、それでいいのかよ。
「光頼む…ここは俺が変わるから寝てくれ…お願いだから…」
俺が懇願すれば、光は困ったように眉を下げた。本当はわかってるんだ、光も。
「何かあったら絶対起こしてやるから、な？」
「……わかった…でも、もうちょっとだけ…」
光はふらふら立ち上がって、伊野尾の頬に手を添えた。
「…いのちゃん、お願いだから起きてよ…。謝るから…」
「…」
「ごめんって言わせてよ…ケンカしたままなんて嫌だよ…」
頬を伝った涙がシーツに落ちる。
伊野尾はまだ、起きない。
…あぁ、光がこんなになってんのに、お前はどうして…
そんなに、幸せそうな顔して寝てんだよ。
(BADEND)
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作者名：みつあめ | 作成日時：2020年11月29日 0時
