▽▲ 寝ても覚めても 2 ▲▽hkin,inhk (ページ4)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:56,186 hit

・ページ4

朝食が終われば、タイムリミットは2時間になっていた。
要望通りに剥いた梨はリビングの方に持っていって、ソファでまったり話しながら2人で食べる。

「ロケ、何時まで？今日って大ちゃんと一緒？」

「うん、2本とも大ちゃんと一緒。たぶん9時には帰って来れると思うけど」

「じゃあご飯作って待ってるね」

「いいの？せっかくのオフなのに」

「ん。だってひかるとご飯食べたいもん」

なかなかタイミングが合わなくて、確かに最近はゆっくり家で夜ご飯食べることもなかった。

久しぶりにゆっくり、2人でお酒でも飲みながら…悪くない。むしろ最高だしその選択しかないな。

「じゃあ、楽しみにしてるね」

「まかしとけ！」

「…ふふっ、なんか説得力ないなぁそのカッコで言われると」

「ひどいなぁ、お気に入りなんだぞこれ」

ニコちゃんのついたもこもこのトレーナー。
色違いまで持ってるくらいお気に入りのそれは、かなり毛玉が目立ってきてる。
それを大事に着てるいのちゃんは、らしくて好きだけど。

「寝癖もついたままだしね笑」

「もぉ！そんな言うならひかるが直してっ」

「はいはい、」

わざと意地悪なこと言って反応を楽しむ…なんて、俺は小学生男子と思考が変わらないのかも。

でもいのちゃんに対しては、拗ねてるのさえ愛おしいって感情が出てくる。
あんまり機嫌を損ねすぎるとめんどくさいけどね。

今のいのちゃんは拗ねながらも甘えたい気持ちが強いみたいで、膨れたあとに自分から脚の間に座ってきた。

俺にだけ見せてくれる、ホントの甘えた姿。

それが、可愛くて、愛おしくてたまらない。

ブラシで髪を解かしてあげると、いのちゃんの機嫌もまたほぐれてきて。

「…眠くなってきた？」

「ん～、寝ちゃいそう…」

「最近忙しかったもんね。寝てもいいよ？」

「やだ、ひかるが行くまでは起きてるっ」

こういう健気なところも可愛いんだよなぁ。

楽しい時間はあっという間に過ぎるっていうけど、俺といのちゃんの幸せな時間もあっという間に過ぎて、そろそろ家を出ないとまずい時間に。

「じゃあ行ってくるね」

「うん」

こういうとき、いのちゃんは必ず玄関まで来てくれる。

ジャージから覗く素足が寒そうだけど。

「寒いんだから暖かくしててね」

「おれ子供じゃないんだよひかるぅ」

いのちゃんはまたちょっと膨れた。

いや、これは意地悪じゃなくて本当に、単純に心配なだけ。