▽▲ 寝ても覚めても ▲▽hkin,inhk

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俺のめんどくさい心理を、ひかるはばかだけどよく知ってる。

だから、自粛中も特に連絡を取ることはなかったし、リモートで会話、なんてことしなかった。


俺が会いたくなって辛くなるって、きっとひかるもわかってたから。



でも、気持ちを押し込めてるだけには限界があったみたいで、公式チャンネルにアップされる動画を撮った後、感情が決壊した。


久しぶりに、リアルタイムで声を聞いた。画面越しだけどひかると顔を合わせた。

癖でチェックしては会えないことに落ち込んだ公式ブログで、その姿は何度か見てたけど…
おんなじ時間におんなじ話題で笑いあって、そこで見たひかるはそんなのの比じゃなかった。


ガラケーの充電器をひかるも持ってたのにはびっくりして、うまく頭が回らなくて、声も出なくて、自分が情けなかった。

ひかるはいつもどおり俺と接してくれるのに、俺ばっかりが大きい気持ちに押しつぶされそうになって。


リモートの撮影が終わってしばらくしたら、自然と涙がこみ上げてきて。



やっぱりダメだった。

ひかるの顔見たらこうなるってわかってたけど、自分の予想まで超えるほどで。



「っ、…ぅ……ひかるっ……」



だから嫌だったんだ。
こんなに苦しいなら、顔なんて見たくなかった。


どうしようもなく涙がこみ上げて、全然止まってくれない。

そんな俺をわかってたみたいに、スマホが震えて、今一番会いたいのに、見たくはなかった名前が表示されていた。



それでも一人ばかみたいに泣き続ける。

電話に出たとこで何になる？また寂しくなるだけだ。


そもそも、こんなに泣いてるのに出れるわけない。



「ぐすっ…うぅ…」


…Plllll、Plllll、


「ふぇ、…うぅ〜っ…」


Plllll、、


Plllll、Plllll、


「〜〜っ、しつこいっ！！」



意地でも出るもんかと思ったけど、何度も諦め悪くかかってくるから、もうどうにでもなれって通話ボタンを押して、スマホを適当に床に放った。



「…いのちゃん？」



少し離れたところから、ひかるの声がする。

でも俺は応えない。応えられるわけない、こんなひどい泣きかたしてるのに。



「いのちゃん？だいじょぶ？…泣いてるの？」



なんで、わかるんだよ。

どうせ涙は止まらない。


どうでもよくなって、床に放ったスマホを掴んだ。



「…ひかる、しつこいっ…」

「いのちゃん！よかった、生きてた」



こいつ…人をなんだと思ってんだよ。

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