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寝ても覚めても hkin ページ1

「今日夢にいのちゃん出てきた」

「……へぇ」

「おまえ、ちょっとは興味もてやっ」

「や、全然興味ない…」



なんだよー、なんて言いつつも口元が笑ってる目の前の…ひかるが作ってくれた朝食を食べながらの会話。


冷たいと思う？


『具合が悪い時にいつも見る夢』で、仕事中なのに盛り上がったのはいつだったか。

俺はあの頃から変わったのかもしれない。



「でさー、なんでかわかんないけど俺らふたりだけでライブやってんの」

「なに、結局話すんじゃん」

「だってさ、面白いことは共有したいじゃん！」



興味ないって言われてもめげないメンタルはさすがだな。



「それにさ、俺って寝てる時もいのちゃんのこと考えてんだなって」

「っ、」



ひかるはほんとに、なんでも素直に言葉にする。
ひねっくれた俺とは正反対。


…たまに俺が困ってるなんて知らないでさ。



「…ふぅん」



もうすっかり眠気はどこかに行ったのに、まだ寝ぼけてるフリをして返事をした。




・




朝食の後、食器は食洗機に放り込んで、2人してソファに座った。

1日オフが重なると、こうして2人で朝のまったりした時間を過ごす。


言っても、ちゃんとした時間に起きてしっかり食事もとってる。それもこれもひかるのおかげだ。

俺がまだ一人暮らししてたなら、だらだらと昼まで寝て、朝食兼昼食を食べるような生活をしてたに違いない。



ひかるは片耳で音楽を聴きながらネットサーフィンを、俺はぼーっとテレビを眺める。

だいたいいつもこんな感じで。


ひかるはお気に入りのマグカップに入ったコーヒー、俺はペットボトルの飲料水。

飲むものも決まっていて。


変にお互いに干渉しない。でも、ぴったりとくっついて過ごすこの時間は嫌いじゃない。


くっついてた腕と腕。そこからさらに、ひかるの方に頭を傾ける。

目線はテレビ画面のまま、なんとなく口にしたくなったそれを呟いた。



「…ひかる、知ってた？」

「ん？」

「おれが、会いにいってんだからね」

「え？」

「昨日の夢の真実」



興味ないなんて、嘘もいいとこだ。



「おれがさみしーから、ひかるに会いに行ってんの。知らなかったでしょ」



でもひねっくれた俺は、直接的に「嬉しい」なんて言えないから。



「ふふっ…いのちゃん寂しがりやだもんね」

「うるせ」



こんなふうにしか言えないけど。




寝ても覚めても好き。


結局は、たぶんお互いそうなんだろう。



*Fin

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