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帽子を被って、マスクをして、チェリョンオンニに行ってらっしゃい、と見送られながら宿舎を出た。
今日はハルちゃんとカフェに行く日だった。分かりやすく目立つ
「Aちゃん、お久しぶりです」
「道迷わなかった？」
「はい！大丈夫です！」
JYPの近くにあるらしく、ハルちゃんの案内の元そのカフェにやってきた。
昔はアイスアメリカーノだけではなくコーヒーなんてとても飲めたものじゃないと思っていたけど、私も大人になったのか一人でちゃんと飲めるようになった。今日はコーヒーがメインというよりかはそこに売ってるドーナツがメインらしいけど。
「これが一番おすすめって聞きました。でもこっちも美味しそう……Aちゃんどれにしますか？」
「うん……よく分かんない……ハルちゃんが食べたいもの二つ選んで半分ずつにしよう」
「Aちゃん……！」
となりからキラキラした目線を受けて、大袈裟な……と思うも、なんだか目をキラキラさせてるハルちゃんがユナが「オンニ……！」と言って喜んでる姿と重なって、微笑ましくなった。
「あの、写真撮りませんか？一緒に」
「私なんかでよければ……」
「何言ってるんですか！こっち寄ってください」
寄ってください、と言う割にはぐいっとハルちゃんのほうから寄ってきて、必然的に目線がカメラに向いた。
はい、チーズ。なんて日本式の掛け声に合わせて写真を撮ったハルちゃんは、また目をキラキラさせて「宝物だ……」と呟いていた。
「わぁ、美味しそう……」
店員さんによって運ばれたドーナツを見て、ハルちゃんはそれに見惚れてから写真を撮って、楽しそうにしていた。
表情がよくころころと変わる子だな、と思った。私はどちらかといえばよく感情が表に出るわけじゃないと思ってるし、こんなふうにはしゃぐことにちょっと恥ずかしいと思ってしまうから、私と全く正反対の子だった。
こういう子の方が、一緒にいて楽しいんだろうな。それに比べて、私は……
「Aちゃん、早く食べましょ！」
「あ、うん」
いただきまーす、と小さな口にたくさんドーナツを含んでもぐもぐと頬を動かすハルちゃんを見て、私も一口かじる。チョコがかかったそのドーナツは思っていたよりもうんと、甘かった。
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作者名：さとう | 作成日時：2024年4月6日 22時
