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「いえ、こうなるって分かってたので別室にいます。今は灯が相手してくれていますよ」
くそ、逃げようと思ってたんだがな。
灯は何でも屋のメンバー。最近長期任務から帰ってきたらしい。俺達のことを何故か「先輩」と呼ぶ奴。彩は灯を気に入ってるらしい。
「さあ、行きますよ！何でも屋の名が廃れます！」
鋒はそういって俺を半ば強制的に依頼人のもとへ運ぼうとしてくる。
「そうだよぉ、行こぉ？」
2人にがっちり引っ張られたら、俺は成す術がない。
諦めるしかない。
「さあ！ここですよ！」
鋒がニコニコとこっちを見てくる。ウザイ(素直)
「失礼します」
急に礼儀正しくなる。気に入らねぇ。
「あっ、鋒先輩。彩先輩も！赭先輩お久しぶりです」
ニコッと笑いかける灯。隣で彩が悶えてるが気にしないことにする。
「うん、灯ちゃん、ありがとうねぇ。やっぱウチの癒しだよぉ」
中々に灯は鈍感らしい。
「……はい！お役に立てたなら嬉しいです！」
「うんうん、君はいつまでも元気よく笑ってればいいんだよぉ」
女同士の会話を隣で見る俺と鋒、依頼人。何を見せられてんだ、俺達は。
「あぁ、何でも屋さん。お願いだ、俺の話を聞いてくれるか？」
依頼人がふと我に帰ったように言う。
そうだった、これ実は何でも屋の依頼だった。
「……失礼を承知で聞きたいんだが、今まで危険な依頼などは、どのような物ですか？」
依頼人が遠慮気味に聞く。そりゃそうだよな、俺は同じ立場だったとしてもそもそも聞かないけどな。
「えぇ、これまでもこれからも危険な依頼はお受けしますよ、それが俺達何でも屋の役目ですから」
なんでこういう時は無駄にしっかりしてんだよ、こいつ。
気持ちわり。
「鋒、これが過去3年以内の危険な依頼リストだよぉ。やっぱ恨みかなんかの殺人代行が多いねぇ」
彩が鋒にリストを渡す。
俺達がなんでこう依頼人とゆっくり会っているかというと、それは俺達が警察に見つかろうと''必ず''逃げきれるからである。あともう1つ、ここは日本では有数のスラム街、つまり警察の捜索が到底追いつかないからである。
「えぇ、ありがとうございます……やっぱり殺人代行が多いですね。俺達は警察の目を掻い潜り行動出来ます。なので一般人が数人、もしくは個人でやるよりも俺達に金を払い1人雇って殺人代行してもらう方が到底楽なんですよね」
「それなら安心だ。じゃあ…早速話を聞いてもらえるか？何でも屋さん」
「勿論」
続く
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作者名：ゆず | 作成日時：2023年2月10日 20時
