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ほんとのきもち ページ19

黒×赤

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「ヨコ、好きや」
「付き合お」

目の前でストレートに想いを伝えてきた幼なじみと言っても過言じゃない奴、○○。


此奴は、俺がヒナのこと好きって知ってるはずなのに。


「なぁ、俺、ヒナが好きなんやで?」

そう改めて言うてみても

「ん、そんくらい知っとる」
「けど、お前が好きや」


なんて真っ直ぐな目ぇして返してくる。

危うく吸い込まれるんやないかっていうくらいに真っ直ぐな目で。


その何ともいえない圧力のようなものに圧倒されていると


急に哀しげにフッと微笑んで

「ごめんな、好きになってもうて」

そう言って立ち去ろうとする。

気が付いたら、

今にも俺の前から消えようとする此奴の腕を掴んで止めていた。

「なんで?」
「なんで止めたん?」


そんなん言われたって自分でもわからんわ。


「お前は、お前は俺が好きなんとちゃうんや...っ!」


今度は気が付いたら

何かを言おうとしとった此奴の口を自分のクチビルで塞いどった。


俺が好きなんはヒナのはずやのに。


そんな行動をとった俺を

○○は何を言うワケでもなく

何でも知っとるような、

それでいて何も知らないような、

最初と同じ真っ直ぐな目で俺を見ていた。


その目は俺のいつの日かの気持ちを呼び起こした。


何年も前に抱いていて、何年も前にしまい込んでいた気持ち。

俺しか知らないほんとの気持ち。


ヒナ、ごめんな。

俺はお前を盾にして逃げてきただけやった。



「○○、思い出した」
「俺、何年も前からお前が好きやったんや」


「そんなん最初から気付いとったわ、アホ」


照れながらもそう言い切った此奴は

やっぱり吸い込まれそうな目をしていた。

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作者名:らぱん。 | 作成日時:2017年5月9日 9時

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