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のど飴 ページ15

青×赤

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.


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「ん゛っんん」
「あぁ〜...ん゛っん」

渋やん、今日ずっとあんな感じやなぁ。


風邪やろか、

それとも花粉症?


「渋やん、ノド、どしたん?」


「ん?なんかな、おかしいねん」
「こんなんで歌、歌えるやろか...」


答えて、泣きそうになってるその声も少し掠れとる。


この人、メインボーカルやし、その前に歌とか音楽ないと生きていかれへんよなぁ。


「病院行き?」

「嫌、絶対に嫌や」


ほんまこの人病院キライやなぁ。
どないしよ?


...あ、そうや。


「渋やん、目ぇ瞑って?」

「ん」


病院行け言うた時は頑なに拒否しとったのに、

今度は素直に従ってくれた。


そして、ボクはいざという時の為に鞄の中に入れとったもんを取り出す。


「なぁ、まだぁ?何するん?」

渋やんが文句を言い出してしまった。急がないと。


包みを破って、自分のクチビルに挟み込む。


それから、渋やんのクチビルに押しつける。


渋やんはただのキスやと思ってるみたい。


少しクチビルを開いた渋やんの口の中にソレを押し込む。



そのまま渋やんの口の中で、2人の熱で溶かしていく。


「んっ...ふっ...んん...」


小さく吐き出される呼吸の音と、
ソレが時折歯に当たるコツンという音が静かな部屋に響く。


そしてその部屋は

イチゴの甘い香りと

少しだけスースーとした爽快感で溢れてる気がした。



長いことそうして溶かしたイチゴ味。

溶けきった時にはお互い息が上がってて

口の周りはベタベタだった。


「なんやねん」


掠れた声で小さく呟いたこの人の顔は心なしか緩んでて、


ほんのり赤かった。



そう、まるでさっきののど飴みたいに。

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作者名:らぱん。 | 作成日時:2017年5月9日 9時

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